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公開日:2020.09.17

鶴見ふれあい館が閉館
スタッフ高齢化、コロナ要因に

  • 最終日、閉店時間を迎え、利用客らに謝意を伝えるスタッフ

  • 10年間、一人もかけなかったというスタッフら(簡照子代表=中央)

 開館から10年、地域の居場所として、子どもから大人まで親しまれた豊岡通りのコミュニティサロン「鶴見ふれあい館」が、9月10日で閉館した。平均年齢80歳代というボランティアスタッフの年齢に加え、コロナ禍での運営の難しさなどが後押しする形となった。簡照子代表は「大勢の人が喜んでくれる施設になった。皆さんの協力のおかげ」と謝意を示した。

10年、 地域の居場所の先駆け

 鶴見ふれあい館は、「誰もが立ち寄れる交流の場に」というコンセプトのもと、2010年7月20日に開館。自治会や区内団体などの有志18人による「地域開放型サロンを豊岡につくる会」が、横浜市の助成事業「ヨコハマ市民まち普請事業」のプレゼンテーションを勝ち抜き、整備された。場所は、思いに賛同した(株)水晶院の田中利昭社長が、倉庫として活用していた場所を提供した。

 当時はコミュニティサロンの例が少なく、区内でも先駆けだった。

 店内ではコーヒーや紅茶などの飲み物のほか、数量限定のランチも提供。隣接の障がい者就労支援施設のパン店「麦の家」とは自動ドアでつながっており、イートインスペースとしても活用されていた。

感染不安や制限も

 「10年という節目を迎え、みんなの年齢的に考えても一区切りかなと。そう思っていたところにコロナがあった」。店長の相良久枝さんは、閉館に至ったきっかけを説明する。

 コロナ禍で同館は3月から6月まで休館。再開にあたっても、高齢スタッフの感染に対する不安、集いの場としての苦悩などがあったという。

 「代表として支えてもらった簡さんにしっかり感謝したいと思った」と相良さん。タイミングが合致し、話し合いのうえ閉館を決定した。

多世代が親しむ

 駅前は危ないからと、循環バスの中で親の帰りを待つ子どもがいる――スタートは簡さんが、その子たちのためにと考えたことだったという。

 開館後、区内地域作業所などで障がい者が製作する手作り品も販売。手数料などはとらなかった。ホール研修の場として、麦の家から障がい者の受け入れも実施。実際に飲食店などに就職するケースも多く、自立にも一役買った。

 高齢者や親子連れはもちろん、豊岡小学校の児童が通塾前に訪れたり、近隣店舗のスタッフが休憩場所として利用したりと、多世代から親しまれた同館。「開館当初描いていた思いは、達成できたと思う」と運営委員らは口を揃える。

出会いの場、惜しむ声

 8月28日には関係者のみで10周年の記念会を開催。簡代表をはじめ、田中社長やスタッフらが駆け付け、節目を祝った。

 簡代表は「作って良かったと毎日思っている。これからもこういう場所が出来てくれれば」と話した。

 常連客の一人は「ここに来ると誰かに会えて、新しい仲間もできた。良い場所だった」と名残惜しんだ。

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