本紙では年頭にあたり、山中竹春横浜市長に単独インタビューを行った。市長は第6波も見据えた新型コロナ感染拡大防止策、大きなダメージを受けた市内の経済回復に向けた支援策など、市民と事業者を支える施策に注力する姿勢を示した。(聞き手/北原健祐・添田守男)
――日本最大の基礎自治体・横浜市のトップに就任されて、約4カ月が経ちました。
「377万人を超える市民の皆様の安全・安心な暮らしを守るため、横浜市長は多様な課題に取り組んでいくことが求められており、責任の重さを強く感じています。
横浜市は職員が4万人以上、予算も3兆円を超える大組織。市政の課題を解決していく上で職員とゴールを共有する、皆で議論を重ねる、一丸となって取り組んでいくことが不可欠です。多様な職務を担うこの大きな組織をいかに適切にマネジメントしていくのか。強い気持ちで挑んでいます」
病床を大幅に拡充
――コロナの第6波到来が懸念されています。
「コロナ病床は昨年9月1日時点で685床でしたが、12月1日時点で826床まで拡充できました。その中にはコロナ専門病院『横浜はじめ病院』の60床も含まれています」
――コロナ専門病院の役割について教えてください。
「軽症や中等症の患者さんを重症化させないための病院です。基礎疾患などのあるハイリスクの患者さんに対し、専門的な治療を行います」
--自宅療養者への支援体制は進んでいますか。
「各区の医師会や民間事業者との連携により、市内の医師による電話・オンライン診療等を行う仕組みを構築し、自宅療養者の見守り支援の拡充を進めています。その中で、電話等で症状観察を行いながらリスクが高い方を入院に結び付けていきます。必要ならば医師が訪問して往診します」
――市長選挙時、公約として掲げた「いつでもどこでも」PCR検査・抗体検査拠点の設置については。
「国もPCR検査の拡充を訴えています。県とも連携して検査の機会を確保していきたいと考えています」
3回目接種を円滑に
--3回目のワクチン接種をどう進めますか。
「1、2回目終えて、我々としても市民の皆さんに予約時にご迷惑をおかけしたので、接種希望者がスムーズに予約を行えるように改善したいと思っています。
ウェブサイトで接種場所やその空き状況を検索できるようにし、ウェブが使えない方のためには、相談員を各区役所で大幅に増員します。さらにコールセンターのブースも280から560に増やします。集団接種も行いますが、今後は個別接種を中心とし、その体制強化を進めます」
――横浜市大などと連携し、市内で発生したコロナのゲノム(遺伝情報)解析に力を入れる考えを示されました。
「はい。これにより、新たな変異株の発生動向を監視する体制を強化したいと考えています」
――どのような効果が期待できるのですか。
「全ゲノム解析を行うことによって、市域におけるウイルスの変異状況をいち早く捕らえることができ、感染拡大や重症化の防止に役立つ可能性があります。重症化を防げればコロナは通常医療で対応できます」
事業継続・雇用維持 支援
――コロナ感染拡大により、大きなダメージを受けた市内経済を回復させるための取組を教えてください。
「緊急事態宣言や時短要請、イベント開催制限も解除され、まちには徐々に賑わいが戻りつつあります。基本的な感染症対策を徹底していただきながら、市としても、コロナ禍で厳しい状況にある事業者の皆様の事業継続と、雇用維持に向けた支援に全力で取り組みます」
――具体策は。
「厳しい経営状況にある飲食店の皆様を支援するため、利用金額に応じてポイント還元を受けることができる「レシ活チャレンジ」(レシートを活用した市内飲食店利用促進事業)を実施しています。市内の観光事業者の支援につなげるための「Find Your YOKOHAMA」キャンペーンは、多くの皆様にご利用いただいています。また、「新しい生活様式」に対応したMICE開催を支援する「安全・安心な横浜MICE開催支援助成金」も実施しています。市民の皆様の命と暮らしを守りながら、横浜経済を回復する。そして、横浜を将来にわたり、持続的に発展させていく。その強い決意のもと、必要な対策を講じていきます」
「全員喫食」を目指して
――市立中学給食を現在の「選択制」から「全員喫食」を目指しているのはなぜですか。
「成長期の中学生に必要な栄養バランスの整った給食を提供することは、市の責務だと考えています。学校給食法上の趣旨を踏まえつつ、生徒の成長を支えるため、そして、子どもたちの将来の食生活を豊かにするためにも、栄養バランスのとれた給食をより多くの生徒に届けたいと考えています」
――横浜市の生徒数は日本最大です。土地や財源を含め、供給体制をどう確保しますか。
「現状では生徒・教職員含め8万3千人分の給食を製造するための供給体制が確保できていないことが課題です。市長就任後、いくつかの学校を視察して、生徒とも直接意見交換させていただきました。まずは、現場の皆様との対話などを通じて現状を把握し、課題を整理して進めていきます」
横浜の活力創出を
――そのほか、2022年の主な取組みを教えてください。
「誰もが自分らしさを発揮し、いきいきと安心して暮らせるまちの実現に向けて、子育て、教育、医療、介護や福祉分野の政策を充実させていきます。また、デジタル化を推進し、市民サービスの向上、働きやすい環境づくりにつなげます。
激甚化する自然災害への備えも欠かせません。引き続き、防災・減災対策、都市基盤の整備を着実に推進します。同時に横浜港の国際競争力強化、横浜駅周辺やみなとみらい21地区、関内・関外地区などの都心臨海部の機能強化を加速させたい。瀬谷区で開かれる27 年の国際園芸博覧会開催に向けた準備も進めていきます。
5月にはいよいよ、いすゞ自動車株式会社の本社が横浜に移転します。相鉄・東急直通線も来年度下期の開業に向けて、着々と工事が進んでいます。アフターコロナでのさらなる飛躍のため、国際会議の誘致や観光振興、横浜発スタートアップの成長支援にも力を注ぎます。
IR誘致を撤回した山下ふ頭の再開発に向けた新たな事業計画の策定も進め、市内経済の力強い回復、そして横浜の活力の創出につなげていきます」
――市民に新春メッセ―ジを。
「皆様に『住み続けたい』と思っていただける横浜、事業者の皆様から選ばれる横浜を創っていくため、誠心誠意、市政運営に力を尽くしていきます」
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