新型コロナの発生からおよそ2年、新たな変異株が生まれるなど収束の気配が見えない中だが、ワクチン接種なども進み、地域ではさまざまな工夫のもと活動が行われている。本紙では年頭にあたり、区政運営の舵を取る森健二区長に、コロナ禍における鶴見区の取組などについて話を聞いた。(聞き手=浜田貴也)
総力あげ感染症対策継続
――引き続き、コロナ対策の一年となりました。昨年の振り返りを。
「新型コロナウイルスとの戦いは想像以上に長期にわたるものとなりました。昨夏の第5波のピーク時に、鶴見区内では1週間あたりの陽性者が市内最多の635人にも達しており、感染症対策、そして経済や地域活動に至るまで、これまで以上に皆さまの暮らしに大きな影響を与えるものとなりました。
こうした災害とも言える危機的状況に際して、区民の皆さまの健康・安全を守るため、区役所一丸となって取り組んでまいりました。また、医療従事者の方々には、通常診療も続けつつ、ワクチン接種、PCR等検査の実施及び陽性者への診療など、さまざまな対応にご協力いただきました。改めまして心より感謝申し上げたいと思います。
ワクチンの早期接種に向けては、区内2か所の集団接種会場で、1日あたり最大1千人の方へ接種を行いました。今後は3回目の接種も予定されています。引き続き区役所総力をあげて感染症対策に取り組んでまいります」
マイナンバー普及促進
――昨年の鶴見区のトピックは。
「昨年10月に児童虐待対策の充実を図るため、区役所内に『こども家庭総合支援拠点』が設置されました。スタッフも増員し、専門的な相談対応や支援が必要な家庭の早期発見、虐待の未然防止など、子ども・家庭・妊産婦に向けた切れ目のない支援に一層取り組んでいきます。
マイナンバーカードの普及促進については、混雑解消のため臨時交付窓口を設置するなどカードを受け取りやすい体制づくりに努めてきました。昨年から健康保険証としての利用や転出届のオンライン手続が開始するなど、その利活用の範囲は広がっています。引き続き皆さまの暮らしが便利になるよう、普及に取り組んでいきます」
にぎわい守りたい
――2年目のコロナ禍、1年目を踏まえニューノーマルという形で工夫しながら取り組んだ施策はどんなものがありましたでしょうか?
「新型コロナウイルスの恐ろしいところは感染リスクだけではなく、人と人とのつながりが薄れていく恐れがあることでもあります。
コロナ禍において、多くの地域イベントが中止を余儀なくされました。
その一方で、オンラインの活用やテイクアウトイベントの開催など、地域の方々の創意工夫で多くの取組が実施されました。臨海フェスティバルは例年の形としては中止となったものの、自治会町内会主催で、思いを継いだお祭りが開催されました。生麦旧東海道まつりは、テイクアウト形式で行い、新たな食の楽しみを提供してくださいました。
私もこうした場に約2年ぶりに参加する中で、鶴見の元気、にぎわいを守りたいと、改めて感じています」
――ウィズコロナ、アフターコロナの中で感じられる新たなまち(行政)の課題と、解決のための取組や考えは。
「今までの区役所サービスは対面が基本でした。しかし、コロナによる接触機会を減らす必要性や在宅ワークの増加など、ワークスタイルの大幅な変化もあり、区役所へ行かずに手続きや相談を行いたいというニーズが高まっていると感じています。
そこで、区役所では昨年7月に保育・教育コンシェルジュによるオンライン保活相談をスタートさせました。出産を控えるご家庭や共働きのご家庭などから、大変好評をいただいています。
将来的にはICT技術等を活用し、非来庁型の区民サービスの提供をより一層広めていきたいと強く思っています」
"わくわく"を展開
――今年の鶴見区はどんな一年になるでしょうか?区民へのメッセージをお願いします。
「一昨年、昨年とコロナ一色の2年間でしたが、そのような中で今年は明るいニュースがあります。
春から放送開始予定の2022年度前期連続テレビ小説「ちむどんどん」に鶴見区が舞台の1つとして登場します。
放送にさきがけ昨年12月、官民学が連携した『ちむどんどん』横浜鶴見プロジェクト実行委員会を立ち上げました。この実行委員会を中心に経済や地域コミュニティの活性化、鶴見の認知度向上を目指していきます。
『ちむどんどん』とは沖縄の方言で胸がどきどき、わくわくするという意味です。今後は、地域の皆さまが「ちむどんどん」するような事業を企画・展開していきますので、皆さまもぜひ一緒に楽しんでいただければと思います。
また、先日発表された令和2年国勢調査結果によると、鶴見区の人口は29万7千人を超えました。5年前の調査と比べ約1万2千人の増となっています。
多くの自治体が人口減へ転じる中、鶴見区の人口は引き続き増加するとの推計もあり、区長として皆さまの暮らしを守る責任を一層強く感じているところです。
安全・安心を守り、誰もがここ鶴見にいつまでも住み続けたいと思っていただけるまちづくりに、引き続き励んでまいります」
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