戦時中、現在の座間市、海老名市、大和市、綾瀬市にまたがって設置された高座海軍工廠(しょう)で台湾少年工が製造に携わった戦闘機「雷電」の部品の展示が6月23日から、座間市役所で始まった。部品は今年1月、市民の大矢隆男さん(66)が寄贈。今回、日台高座友の会(橋本吉宣会長)がケースを寄贈したことで、一般公開が実現した。
展示部品は「雷電二一型」(三菱重工設計)の操縦席前部にあたる胴体上部の外板で、長辺約150cm、短辺約100cm。ジュラルミンと純アルミの多層構造からなる耐食性の高い素材が使われ、現在も製造当時の様相を保っている。国内での雷電の実物の存在は他に確認されていない。
航空史家で部品を鑑定した古峰文三氏は、部品に機体に装着する部材が欠け、鋲の打ち方が量産品と比較し精巧であることから、工作見本であった可能性を指摘。台湾から来た約8400人の少年工が、部品を模範として工廠や地下壕で作業をしたと考えられるという。
南栗原在住で元社会科教諭の大矢隆男さんは長年、庭のさつまいもの貯蔵庫の蓋としてこの部品を使用。大矢さんの叔父が工廠に働いていたが、部品が大矢さんの自宅に持ち込まれた経緯はわからないという。
昨秋、知人と偶然この話をしたところ、文化財としての価値を指摘され、今年1月に市に寄贈した。
「交流の証」
市はこれまで、ケースがなく一般公開していなかった。元少年工との交流を続けてきた「高座日台交流の会」の意思を継ぐ日台高座友の会は一連の事情を知り、ケースを寄贈。その結果、市役所での展示が決まった。
展示ケースの寄贈式で遠藤三紀夫市長は「元少年工と座間との交流の証として伝えていきたい」とあいさつ。橋本会長は「展示を通し、誇りを持てるようになればと思う。台湾の人々にも伝えたい」と話した。
大矢さんは「市役所の一番いい場所置かれ、亡くなった叔父も喜んでいると思う。座間の歴史や平和について考えるきっかけになればいい」と、しみじみ部品を眺めた。
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