鎌倉検定の会初代代表で、世界遺産登録にむけ活動する 吉川 昇さん 笛田在住 85歳
街づくりが世界遺産の本質
○…鎌倉を知り尽くす「シルバー・ボランティアガイド協会(現ガイド協会)」の第1期生(1991年)であり、鎌倉ファンを増やそうと2005年に立ち上がった「鎌倉検定の実現を目指す会(現検定市民の会)」の初代代表でもある。また現在、世界遺産登録推進協議会のメンバーも務める。「検定の会」は、鎌倉への関心を高め世界遺産を目指そうという機運の盛り上げも狙っていた。
○…先月22日、「武家の古都・鎌倉」の世界文化遺産推薦が正式決定した。「鎌倉を世界に知ってもらう絶好のチャンス」と、登録への取り組みを評価する。その一方で、「市民の関心が低い」と嘆く。「大切な遺産をしっかり守っていこうというのが世界遺産の趣旨。そのための街づくりを市民が行う、それが本質」と語る。登録ありきの現状に危機感も示す。
○…登録推進協議会で市内各地域から意見を聞く部会立ち上げを手伝う。11月ごろから、各地域に出向いて話し合いの機会を持ちたいとする。「登録如何に関わらず、街づくりを考えるチャンスです」と意気込む。
○…大正15年、台北生まれ。父親の仕事の関係で幼少期を台湾で過ごす。戦後帰国し大学を卒業後、会社員に。森永製菓では、日本初のインスタントコーヒーを手がけ、宣伝担当として奔走した。「『インスタント』は、流行の言葉でした」と当時を振り返る。京都に住んでいたこともあり、歴史に魅了される。鎌倉へは35年前に。「5月22日が誕生日。鎌倉幕府が滅びた日なんです」と、地元の歴史にも縁を感じたという。現役当時から自治会長や民生委員などを経験し、現在は市民の立場で考える「医療をよくする会」の代表も。
○…「一人だけが幸福になっても、本当の幸福にはなれない」。宮沢賢治のこの言葉がお気に入り。「皆さんが喜んでもらうことに生きがいを感じる」とし、何事も実行・実践がモットーだ。