「かながわ音楽コンクール」シニアピアノ部門で1位になった 廣瀬 加奈さん 岩瀬在住 22歳
「壁」越えつかんだ自信
○…6月8日に横浜みなとみらいホールで行われた「かながわ音楽コンクール」シニアピアノ部門本選。出場した64人の頂点に立った。舞台に上がると不思議な感覚に包まれたという。「もちろん緊張感はありましたが、固くなることなく曲に集中し楽しんで弾くことができました」と納得の演奏を披露。1位という評価以上に「一つ壁を越えた思う」と、演奏家として自信をつかむ栄冠となった。
○…ピアノ教師の母・法子さんのもと、3歳でピアノを始めた。娘に音楽家の夢を託す母の指導は厳しく「正直、練習は嫌いでした」と笑う。それでも「ピアノを弾くことは当たり前で、ほかの選択肢は考えられませんでした」。高校は音楽教育の名門・桐朋女子高等学校音楽科へ。レベルの高い友人たちから刺激を受け、自らも音楽の道を突き進んできた。桐朋学園大学に進み、現在は同大学の研究科に在籍する。
○…先月、ヴァイオリニストの天満敦子さんの伴奏を務める機会があった。コンサートの最後に天満さんが童謡『ふるさと』を演奏すると、会場は涙に包まれ「純粋に感動しました」と振り返る。天満さんからは二日後に「またいつか一緒に演奏を」と書かれたハガキが届き「人間としての大きさが演奏につながっているのだと思いました。私も様々な経験を積んで、人に何かを訴えかけられる演奏をしたい」と目を輝かせる。
○…すでに気持ちは次の目標に向かっている。その一つが、コンクール上位者が出演する「トップコンサート」(10月6日)だ。神奈川フィルハーモニー管弦楽団とラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」で共演する。「母が大好きで、私も幼い頃に感動した曲。いつかオーケストラと弾いてみたいと思っていました」。難曲への挑戦にプレッシャーはあるが、それを「楽しみ」を言える自信が今はある。壁を越えたその先へ―音楽と言う地図のない旅は、始まったばかりだ。