60周年を迎えた鎌倉水泳協会の会長を務める 内田 節夫さん 極楽寺在住 69歳
子どもの笑顔を励みに
○…「泳げない人を泳げるように、泳げる人はより泳げるように」を理念に市民向けの講座や競技会の開催を通じて「市民皆泳」を目指す鎌倉水泳協会がこのほど60周年を迎えた。120人余りの会員をまとめる会長に就いて9年目。「協会がここまで長く続いたのは『水泳が心から好き』という会員の力があってこそ」と話す。
○…岩手県花巻市の出身。大学の教育学部を卒業後、小坂小学校で教師としての第一歩を踏み出した。水泳協会との関わりはこの頃から。当時の協会は会員の多くが教員だったため「いやだと言えなかった」と笑う。「水泳はほぼ未経験で手探りだったけど、子どもと触れ合う良い機会だった」と競技会の開催などに奔走した。
○…1983年以降は仕事が忙しかったこともあり協会を離れたが、2005年に定年退職すると周囲に請われて会長に就任した。参加してすぐの頃と違い、会員の大半は水泳が好きな有志の市民。泳いだ距離の総計で箱根駅伝コースなどに挑戦する「タートルスイミング」や健康維持・増進を目的にした「かなづちクラブ」など、工夫を凝らした催しが企画されている。「皆の意欲が素晴らしいから、僕の出る幕はなかったんだけど、これだけは実現したかった」と話すのは、小学生対象の水泳記録会の再開。「学童水泳大会」の名で復活し7年が経過した。「年々参加者が増えている。子どもが活躍できる場は大事だな、と改めて思う」
○…協会では就学前の子どもを対象にした「水泳体験会」を行っており、そこで指導を担当することも。子どもたちに合わせた丁寧な指導が地域の幼稚園や保育園から支持を得ている。「水を怖がっていた子が水に顔をつけられるようになった、など出来るようになった瞬間のにこっと笑う顔が一番の励み。昔も今も子どもたちの笑顔がたまらなく好きなんだよね」と目じりに皺を刻んだ。