鎌倉三日会の会長に就任した 新村 正純さん 材木座在住 75歳
意見出し合いまちづくり
○…市民の目線で市政に提言を行っている「鎌倉三日会」。その会長にこのほど就任した。「60年以上続く歴史ある団体。皆が心地よく意見を言い合えるような雰囲気作りをしていきたい」と朗らかに語る。
○…長野県生まれ、鎌倉育ち。大学では農芸化学を専攻し、卒業後は味の素に就職した。技術者として蚕の人工飼料研究などに没頭、転勤で全国を回った。「20年以上、鎌倉から離れた生活を送っていたな」と振り返る。定年退職後に鎌倉で落ち着いてみると、「開発が自然を破壊しているのではないか」など、まちの様々なことが気になってきた。そこで、市民が市政を考える「100人会議」に応募。1年の任期終了を前に知人から三日会に誘われ、「ここなら、多くの人と意見をかわし有意義な時間を持てる」と8年前、入会を決心した。
○…三日会では会員同士で意見を出し合った上で市長に提言を行っており、ここ数年は医療体制の充実を目指し、市内に拠点を置く総合病院と医師会の連携強化に力を尽くしてきた。同会に参加するのは、いずれも市政に一家言をもつ市民ばかり。だからこそ話し合いにあたっては「あえて意見をまとめようとしてはいけない」と話す。「誰かが指揮をとり無理やりまとめると、1人の考え方に流されてしまうことも。多様な意見を戦わせながら自然に落ち着いたひとつこそが大切な我々の意見。答えが出るまでには辛抱が必要ですが」といたずらっぽく語る。
○…45年前から連れそう妻と2人暮らし。長い研究活動の成果から、文部科学省の国費研究の審査員などを務めている。6年前には『地球環境を壊さないで食料問題を解決する』を出版。「農業についての意見はここで出し切りました」とほほえむ。楽しみは学生のときから続けているコーラス。バスパートを担当しており「いかにして低く美しい声を出すか、その工夫が楽しい」と笑った。