NPO法人「タウンサポート鎌倉今泉台」の理事長を務める 丸尾 恒雄さん 今泉台在住 77歳
住民力で挑む地域再生
○…住民の半数近くが65歳以上、増え続ける空き家にシャッター通り化する商店街―。高齢化が進む今泉台の現状を、住民の力で変えようというNPO法人「タウンサポート鎌倉今泉台」が発足し、理事長に就任した。同法人は今後、空き家・空き地を活用したサロン、菜園、朝市などの運営、家事代行や人財バンクの設立により、地域の活性化を目指す。「若い世代がまちに戻って子育てできる環境を整えたい」と力強く語る。
○…出身は静岡県。現役時代はプラント建設会社の社員として世界中を飛び回った。結婚して2男1女に恵まれたが「子どもが生まれて1年以上会えないこともありました」と苦笑する。「田舎に近くて自然が多いところで暮らしたかった」と、今泉台に住まいを構えたのは30代のはじめ。しかし「家には眠りに帰るだけ。地域のことには関心がなかった」と振り返る。
○…会社を退職した70歳を過ぎてから、町内会の総務部長や副会長を務め、鎌倉市が企業、大学などと進めるまちづくりプロジェクトにも参加した。「肩書が大事な会社時代と違って、全員がフラットな立場で言い合える。思っていた以上に楽しかった」と笑う。一方で地域の課題解決は「待ったなし」と感じていた。長期的な視野で活動するための団体が不可欠と判断し、1年前から町内会の仲間らとともにNPOの立ち上げを進めてきた。
○…高齢化ばかりがクローズアップされる今泉台だが、豊かな自然に魅かれ、若い世代の移住者も少しずつ増えている。自身の長女も近くに住んでおり「孫たちが遊びに来るのが楽しみ」と目じりを下げる。NPOの活動が本格化するのはこれから。資金や会員の確保、リーダーの養成など課題は多いがその表情は明るい。「地域には多様な知識、経験を持つ人が大勢いる。そうした住民の力を引き出したい」。目指すは第二の故郷の再生、そして高齢化社会の新たなモデル作りだ。