七里ガ浜商店会の会長を務める 辻井 紀人さん 七里ガ浜在住 40歳
「帰る場所は七里ガ浜」
○…「小さいころから見てきたから、街の中心に桜が咲かない春は考えられませんね」とほほえむ。七里ガ浜商店会の会長を務め、地域のシンボルとなっている「桜のプロムナード」の保全に取り組む。「商店会としてだけでなく、一人の住民として、この景観を50年後も楽しめるような、そんな仕掛けをしていきたい」と意気込みを語る。
○…北海道で生まれ、父親の転勤をきっかけに10歳のときに七里ガ浜へ。大学時代は地元のレストランと寿司店でのアルバイトに明け暮れ、海外旅行にも積極的に出かけた。「特にインドとトルコには何回も足を運んだ。26歳までにやりたいことは存分にやりつくした気がする」と笑う。カリブ海や地中海、ロードス島の浮かぶエーゲ海など世界中の美しい海をたくさん見てきたが、「どこに行っても七里ガ浜の海を思い出してしまう。ここが自分のホームだと、実感した20代だった」と振り返る。
○…大学卒業後はサラリーマンをしていたが3年で退職し、「夢だった」という飲食店経営について学ぶため1年間、北海道へ。七里ガ浜に戻ると、かつて働いていた寿司店が閉店しており「ここで店をやろう」と決めた。06年夏に寿司割烹の店「鎌倉五條」をオープン。スタッフとの対話に重点を置き、来店客が寛げる空間を作り上げた。2年前には地元商店会の会長に就任。「ここで育ち起業もしたので、古い商店の気持ちも新規店の考えも分かる。自分なら皆の潤滑油になれるはず」と会員同士の意見交換の場を設けるなど試行錯誤の日々を送る。
○…両親も含め一家そろって愛犬家。妻と一緒にフレンチブルドッグの梅子と大吉と戯れる時間が一番の癒しとなっている。「実は店名の『五條』は実家の犬の名前。そのおかげか、店も10年続けることができました。これからも地域の人をはじめとしたお客様に支持される店であり続けたい」と満面の笑顔で語った。