腰越救難所の所長を務める 三浦 徳人さん 腰越在住 54歳
漁師の経験、救助に生かす
○…海上保安庁などからの要請を受けて、水難事故の救助に協力するボランティア組織「救難所」。県内23あるうちの1つ、腰越漁業協同組合の20代〜60代の有志約40人からなる腰越救難所の所長になり3年目。1月8日には東京五輪を見据えて腰越漁港で行われた西部地区の合同訓練で、地元所長として指揮をとった。「事故が起きず、訓練だけで終われるのが一番」
○…救難所に所属して30年超。自身も江の島沖で航行不能なヨットを漁場からの帰り際に発見し、仲間と救助した経験がある。「講習や訓練もやっているけれど、すぐに動けるのは毎日の経験があるからだろうね」。命の危険もある中での勇気ある活動を称える表彰状がキラリと輝く。
○…漁港の目の前にある船宿「飯岡丸」の3代目。釣り客を乗せる遊漁船の船長として、荒れない限り毎日海へ出ている。海の仕事の大変さは、子どもの頃から父の働く背中を見てひしひしと感じていたという。一時は「跡を継ぎたくない」と反抗し、親の勧める水産高校には行かず、普通高校へ。大学卒業前には就職活動もしたが、最終的に選んだのは家業を継ぐことだった。「何故かって、やっぱりこういう場所で生まれ育って、海が好きだったからかな」
○…理事を務める腰越漁協では、新たな働き方を模索中だ。漁師は「体が動く限り」という人も多く、「船を出すのがきつくても、漁に関わって働きたい人のために漁港でできる作業や仕組みがあれば」と思案する。漁港のみなとまつりでは実行委員長を担っている。鮮魚の販売のほか、無料の船釣り体験やクルージングも人気。「最近は釣りをする機会がない子どもも結構いる。家族で楽しんでくれるのがうれしいね」と日に焼けた顔に笑みを浮かべる。