藤沢市アートスペースで3月21日(木)まで開かれている企画展に作品を展示する 今村 洋平さん 材木座在住 40歳
凹凸が生む独創的な世界
○…1960年代のアメリカでブームとなったシルクスクリーン版画。その技法をアレンジし、インクを堆積させ立体的にする独自の作品を発表し続けている。21日まで藤沢市内のギャラリーで開催されている企画展では、起伏に富んだ山や色彩豊かな幾何学模様を描いた17点が並ぶ。中には1年以上かけて約4800回も刷り重ねた作品も。「多くの人の目に留まり、込めた思いをキャッチしてもらえれば」
○…福岡県福岡市生まれ。「幼い頃から手先は器用な方。コツコツと作業するのが好きだった」。特に画家・山下清氏のTVドラマに影響を受けて、切り絵作りに没頭していたという。20歳で東京造形大学に合格。在学中は、直径数ミリのエアガン用の弾をひたすら均一に並べた縦横2mの作品を制作したことも。「ホビーショップで弾の在庫を全て買い占めた。同級生の中でもかなり浮いた存在だったと思う」と笑う。
○…大学の授業でTシャツプリントなどにも用いられるシルクスクリーンと出合う。一般的には数回しか刷らないが、何度もインクを重ねると凹凸が生まれることを発見。「インクの物質感に魅かれた。シンプルな技法だからこそ、緻密な表現ができる」と現在に至るスタイルを築いていった。「作品を見て『音楽を聞いているようだ』という方もいる。反応に驚かされることばかりですね」
○…10年前に鎌倉に移住。妻と息子、最近生まれたばかりだという娘と暮らす。「家族みんなの寝顔を見るのが楽しみ」と顔をほころばせる。現在は植木職人として働く傍ら、今夏開催される「あいちトリエンナーレ2019」に出品する新作を制作中。「作業に時間が掛かるのが難点。いつかチームを組んで大きな作品を作り、たくさんの人に感動を与えたい」