5月15日から伊豆の国アートビレッジで「水彩画展」を開催する 堀 明子(めいこ)さん 梶原在住 57歳
日常で感じた想い絵に込める
○…伊豆の国アートビレッジで5月15日から、水彩画展を開催する。展示する作品は、ゆで上げられて真っ赤になったイセエビや串に刺さった団子、刺身盛りなど食べ物が多い。「絵にしたくなるのは好きなもの。美味しいそう、と思うと描きたくなる」と笑う。
○…米国ボストン生まれ。物心つく頃には日本に戻り、11歳まで鎌倉で過ごした後、つくば市へ。幼いころは「目立ちたがり屋」。絵を描くのが好きで、友だちや親せきの顔を描いて喜ばせていた。しかし団体職員として働きだした20代は暗転する。周囲と合わせることができず、次第に精神を病んだ。外に出ること、人と会うこともできなくなり「辛くて暗い毎日だった」。
○…「絵を学んでみれば」。母の言葉をきっかけに美術学校に通いだすと、絵が好きだったことを思い出し「生活に少しずつ色がつくようになった」。30歳を過ぎて祖母の介護のため上京。祖母との生活の中で「もっと介護のことを知りたい」と高齢者施設で働きはじめた。入居者相手に絵画教室を開いたり、得意なハーモニカの演奏を披露すると多くの人が喜んでくれたという。「自分が誰かの役に立っていると感じて、ここに居てもいいんだなと思えた」。探し続けていた「居場所」がようやく見つかった。
○…その後、鎌倉に戻り、現在は高齢者施設で働きながら創作活動を続けている。2年前には初めての個展を開催。今回の水彩画展はその時に作品を見た、洋画家でアートビレッジの代表を務める中西繁さんから声をかけられて実現した。「お店で美味しそうな魚を見つけると構図が浮かぶ。今は点描での風景画にも挑戦しています」。新しい自分と出会うために、これからも絵筆を握り続ける。