湘南モノレール(株)の社長に就任した 小川 貴司さん 東京都在住 56歳
目標は「走り続ける」こと
○…4月上旬、いつものように大船駅から本社のある湘南深沢駅までモノレールに乗って出勤途中のこと。その日は入学式だったようで、車内には真新しい制服に袖を通しちょっぴり緊張気味の中学生と、式典仕様のスーツを着た母らの姿があふれていた。「晴れの日の親子を届けるモノレール。大事な時間を預かっていると思うと、責任の重大さを感じた」
○…湘南モノレール(株)の常務取締役から昇格し、3月31日付で社長に就いた。大船-湘南江の島を結ぶ片道14分の路線だが、年間乗降客は1千万人を数える。通学や通勤、観光と目的はさまざま。ただし利用者の考えは同じで、「時間通りに動いてあたりまえ」。「時には故障や遅延で迷惑をおかけすることもありますが、いつも通りを続けることが大事」と語り、新社長となっても気負う様子はない。
○…東京生まれ。進学した神奈川の慶應義塾高校では、「上を目指したい」とグランドホッケーに挑戦。俊足を生かした攻撃で神奈川代表にもなった。大学卒業後は銀行へ就職。その後、経営コンサルタントとして産業再生機構を経て、現在の湘南モノレールの親会社・みちのりホールディングスへ。2015年に三菱重工らから湘南モノレールを譲り受ける際の担当者だったことから、モノレールの取締役となった。
○…仕事では鉄道を走らせ、プライべートでは自身が走る。東京マラソンに幾度も出走しているものの、「大会に申し込まないときは、なかなか気が乗らなくて。目標ができるとやるタイプ」と一笑する。体が動く限りは走り続けるつもりだ。社長としては、混雑可視化などデジタル技術によるサービス向上に取り組む。「地域に愛される足であり続けたい」