押し花作家として県押花芸術展グランプリを受賞し、地域での講習にも取り組む 中田 由美子さん 常盤在住
押し花への愛、作品に込め
○…押し花にレースや切手などを組み合わせた「ブリコラージュ」と呼ばれるスタイルの作品を中心に発表。今年は6月に県押花芸術展でグランプリを受賞、専門誌での特集と表紙への採用など充実した1年となった。中学校での指導やボランティア講習にも力を入れており、26日には深沢学習センターでクリスマスカード作りを指導する。「本に挟んで押した経験がある方も多いはず。暮らしに彩りを添えてくれるお花の美しさや作品づくりの楽しさを知ってもらいたい」と意欲的だ。
○…札幌出身。23年前に鎌倉へ転居した。「結婚後は夫の転勤が多く、趣味もなかった。見知らぬ土地で頑張れたのは、息子たちがいたから」と振り返る。次男の幼稚園入園を機に自分の時間を持てるようになったことから、アロマやハーブなど、元々好きだった花に関する講座に参加するように。なかでも「続けたい」と意欲が沸いたのが、作品の美しさに惹かれた押し花だった。
○…創作を始めて24年目。作品からは、自身のおっとりと優しい雰囲気がにじみ出る。「コンテストのために奇をてらった作品を作った時期もあったけれど、今は長い間眺めていたくなる、自分が好きなスタイルばかり。作品を見ただけで私のものと分かったと言われるようにもなりました」とほほ笑む。
○…花を挟んだ紙を開く瞬間も楽しみの一つ。時には作家仲間の庭や山で3年分を採集し、まとめて押すこともある。生花店で見つけた新品種の花から自宅そばの雑草まで、「作品にして」と言われているように心惹かれるという。なるべく花弁を切らず、着色せず、「自然なまま」使うのがこだわり。花本来の美しさを、愛情と共に作品の中に封じ込め、魅力を発信していく。