12月からバッハについての講座を開く作曲家・ピアニスト 太田 彌生さん 61歳
思いを音に乗せて
○…深沢学習センターで4回目となる音楽講座の講師を務める。今回は西洋音楽の基礎を作ったバッハに焦点を当てる。「これまで数多くの音楽に触れてきたけれど、バッハほど飽きさせない音楽家はいないんじゃないかと思う。いまだに新たな発見もあるし、母の胎内にいるような居心地の良さも感じる」と魅力を語る。
○…横浜市在住。5歳の頃、ヤマハの音楽教室に通う中で、レッスンの一環で作曲を始めた。自身の好きなように音で表現する面白さに惹かれ、音楽科のある北鎌倉女子学園、東京藝大を経て、大学院に通いながら母校・キタカマで教鞭を執り始めた。同校が50周年を迎えた記念に作曲した『学園の四季』は第2の校歌として、親しまれている。
○…思い入れが強いのは歌曲、合唱曲。学生時代の授業の影響で、合唱漬けに。高校卒業後から現在も北鎌倉女声合唱団で歌い、団長や鎌倉合唱連盟の理事も務める。鎌倉市市制70周年の時には、市の愛唱歌『夢ひかるわれらの鎌倉』の編曲を担当。また、鎌倉合唱連盟の連盟歌として作曲した『心はひとつ』は、春の合唱祭で歌い継がれている。
○…作曲時はしっかりとテーマと向き合い、思いを巡らせる。夢に恩師が出てくることもよくあるという。「切羽詰まっている時も多いし、『大丈夫か』と見に来ているのかも」と笑う。現在は、画家・伊藤若冲の『動植綵絵』をテーマにピアノの小品集を制作中。新曲は、いつも作曲家グループのコンサートなどで披露する。「音楽はCDやユーチューブで気軽に聴けるけれど、生演奏ならではの響きや雰囲気、臨場感を感じてほしい」。自身が感じる音楽の魅力を自身の音に乗せて伝えていく。