絵本・紙芝居作家として活動し、鎌倉文学館で特別展が開かれている 長野 ヒデ子さん 佐助在住 81歳
大人が楽しんだっていい
○…鎌倉文学館で自身初の特別展が開催中。世代を超えて愛される「せとうちたいこさん」のようにエネルギッシュではつらつとしたものから、「おかあさん」や「おとうさん」を描いた温かく優しいものまで、「長野ヒデ子ワールド」を体感できる。会場で来館者と交流する企画も多く、「ワクワク」している。
○…生まれは、瀬戸内海を臨む愛媛県の小さな村(現・今治市)。書店も図書館もなく、自然が「絵本代わり」。絵本をよく読むようになったのは、大人になってから。転勤族の夫と結婚した後も、大量の本と共に引っ越し、「家庭文庫」を開いた。近所の子の集いの場になったり、顔見知りが増えたりしたのは、「本の魅力。本のおかげ」としみじみ語る。
○…わが子のためにと作った絵本『とうさんかあさん』が編集者の目に留まり、作家デビュー。絵を描く時、特別なものは使わない。「ごく普通の色鉛筆なんだけど、『こんな色を出せるんですか』って驚かれる。昔ながらのちょっと不純物が混じったようなものの方が味わいが出るのかも。紙も真っ白じゃない素朴なものがいいよね」
○…自然に囲まれた佐助に居を構えてからは、初めて買ってもらった本「フクちゃん」の作者・横山隆一さんら、多くの地元作家との交流も生まれた。熱中するのは絵本だけではない。紙芝居文化推進協議会の会長として、県立図書館らと協働で手づくり紙芝居コンクールを開催。自身も毎年作品を発表し、夏休みにはラジオ体操後の子どもを集め、源氏山公園で作家仲間と紙芝居もする。「絵本と比べて個人で楽しむ人は少ないけど、紙芝居もすごく面白いのよ!絵本だって紙芝居だって、子どもだけじゃなく、大人が楽しんだっていいんだから」