南台阿部さん 3つ目のマイスターに認定 技能継承に注力
テーラー丸忠(南台)の阿部忠悦(ちゅうえつ)さんが11月15日、厚生労働省から紳士服製造部門で「ものづくりマイスター」の認定を受けた。若年者の育成や技能継承を目的に今年度創設。紳士服製造部門では県内で初の認定となる。
ものづくり離れや技能離れが進む昨今。若者が進んで技能者を目指す環境整備や、産業の基礎となる高度な技能を有する技能者の育成が課題に上がっている。効果的な技能の継承や後継者の育成を目的に、厚生労働省は今年度から「ものづくりマイスター制度」を創設した。マイスターとはドイツ語で「名人」の意。中小企業や学校などで若年技能者への実践的な実技指導を行い、技能の継承や後継者の育成を行っていく。
対象分野は建設業や製造業に該当する111の職種。技能検定の一定級を有するなど、基準を満たした技能士に申請の資格がある。この度認定を受けたのは全国で407名、神奈川県では6名。
今回のマイスターは、所属する神奈川県洋服商工業協同組合の遠藤良次理事長から推薦された。阿部さんは紳士服仕立屋を50年近く営むベテラン。製図から始め、裁断や縫製など、全ての工程での手作りにこだわっている。過去には松沢成文前知事をモデルにスーツを縫ったことも。全国技能コンクールで当時の文部大臣賞を受賞するなど県内外で高い評価を受けている。6年前に優れた技能職者を称える称号の「全技連マイスター」と「横浜マイスター」の認定を受けた功績もあり、審査を通過して3つ目のマイスターの称号を得た。
現在は弟子入りを志願した2人の指導をしている。その他同業者相手の講習会や市内の各中学校での講演など、技術の継承とともに洋服作りの魅力を伝えている。冠婚葬祭のスーツ選びや洋服の手入れについてなどを話すこともあり、年明けに行われる下瀬谷中学校での講習には、保護者も聴講する予定だという。
認定について阿部さんは、「このままでは洋服仕立ての仕事が絶えてしまう。そのくらい若い人がいない世界なので、これをきっかけに、より後進の育成に取り組んでいきたい。体力が続く限りはね」と話した。
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