フラメンコ団体「ヒラルディージョ」の代表として石巻で無料コンサートを続ける 大森 勇治さん 市内在住 41歳
人との繋がりこそ財産
○…東日本大震災の復興支援として、2013年から年に1度、宮城県石巻市内で無料のフラメンココンサートを続けている。主催団体「ヒラルディージョ」の代表を務め、会場選定や音響照明など事務局として活動を支える。「喜ばれることを期待しすぎると良くない。勝手に押しかけているようなもの」。それでも、「楽しんでもらえたらやっぱりうれしい。その度に、やってよかったなと思う」。
○…無料コンサートの諸費用は、横浜市内各地で月に1回ほど開催しているチャリティーコンサートの収益で賄っている。出演者は有志で、交通費など実費のみで協力している。それでも赤字になることもあり、資金的な余裕はない。そんな中、活動を通じた多くの出会いが財産となっている。「お金はある日突然価値を失うこともある。最終的に頼りになるのは人と人とのつながりだと思う」。根底にあるその価値観が、地道な活動を前へと進めてきた。
○…大学生の時にフラメンコに魅せられたきっかけがギターだった。社会人になってから、「やっぱり、本場で学ばなきゃだめだな」と30歳を過ぎてスペインへ半年間の武者修行に。その時の友人から、日本でコンサートをしたいと相談を受けてヒラルディージョを発足した。現在は仕事でも、舞台監督や機材レンタルなどフラメンコに関わっている。「フラメンコが、もっと大きな話をすれば『観劇』というものが、日本でもより身近になったらいいのに」。そんな思いが、日々背中を押している。
○…被災地では仮設住宅から復興住宅へ移る人も増え始めているが、「移り住む力のない人にこそ、寄り添っていく必要がある」と問題意識を持つ。石巻の自治会長とも直接やりとりしているため、「不満も感謝も、ダイレクトに感じられるのが醍醐味。小さな団体ならではの強みを生かして、フットワーク良くいきたい」。静かな情熱を胸に、支援を続ける。