人口約27万人の鶴見区。本紙では新春にあたり、その舵取りを担う山崎幹夫鶴見区長にインタビューを行った。東日本大震災を受けての災害対策や待機児童問題など、様々な課題に直面した昨年を振り返りながら、今年の鶴見区の展望を聞いた。(聞き手/本紙・浜田 貴也)
――就任から最初の年明けです。率直な思いを。
「区民のみなさん、あけましておめでとうございます。昨年5月に鶴見区長に着任いたしまして、8カ月が過ぎました。区民の皆さんの鶴見に対する熱い気持ちを日々感じるとともに、まち全体にただよう温かな雰囲気が大好きになりました。皆様の思いに応えられるよう、より暮らしやすいまちに、より誇れるまちにしていくことが私の、そして区役所職員一同の使命です。一生懸命努力してまいりますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします」
――昨年は東日本大震災がありました。鶴見区への影響や、防災への新たな取り組みはあるのでしょうか。
「東日本大震災は、各地に甚大な被害をもたらしました。鶴見区内においては、地震による建物等の被害は、幸いにしてそれほどではありませんでしたが、区役所では、停電及び交通機関の不通による帰宅困難者対応などに追われました。区庁舎のほか、近隣の小・中学校や地区センター等も一時休憩所として開放したところ、多くの方から感謝のお手紙、Eメールをいただきました。今回の震災の教訓も生かした防災の取り組みは、行政全体に課せられた大きな課題です。いつ起きるか分からない天災に備え、鶴見区では、津波による浸水予測図等を新たに織り込んで「防災マップ」を改訂し、3月には全戸配布する予定です。また3月10日には、区民のみなさんとともに防災について考えるイベントも計画しております。是非、一緒に防災について考えていただければと思います」
――福島第1原発事故による節電への対応は。
「震災後の電力不足は、区民の皆さんの生活にも大きな影響を及ぼしたことと思います。震災直後の「計画停電」につきましては、区でも広報に努めましたが、たくさんのお問い合わせを頂きました。夏場の電力需要増大期に向けて、電力需給のひっ迫が予測されたことから、「節電チャレンジ」と題し、区民の皆さんにも節電への協力をお願いいたしましたところ、結果的に夏場に停電が発生することはありませんでした。改めて御礼申し上げます。
暖房が必要になる冬場においても、電力需給はひっ迫するものと思われますので、お身体に障りのない範囲で、引き続き節電に努めていただけますようお願いいたします。
石油などの化石エネルギーの大量消費は、地球温暖化にも繋がっているといわれています。震災を契機に、私たち一人ひとりがライフスタイルを見直し、電気の無駄遣いをやめれば、地球環境にも、さらには家計にも優しい暮らしができるものと思いますので、何卒よろしくお願いいたします」
――今年度も多くの事業に取り組んでいると思いますが、進捗状況などは。
「鶴見区では、『笑顔でこころをつたえる・つうじる・つなげるつるみのまちづくり』を基本目標に掲げ、区職員が一丸となって取り組んでいるところです。防災に関する取り組みのほかにも、待機児童対策をはじめとする福祉のまちづくりや、多文化共生のまちづくり等を進めています。1月4日には、『生麦地区センター』の隣接地に『生麦地域ケアプラザ』がオープンいたします。地域福祉の拠点として、福祉のまちづくりを進める一助になるものと思われます。また、鶴見区は中区に次いで2番目に外国人区民が多い『多文化のまち』です。区民の皆さんが、多くの国や地域の文化をより身近に感じて頂くことができるよう、レストランや物産店などを通じて多文化の魅力を伝える小冊子『新つるみde多文化』の改訂版を発行します。
このほか、懸案となっておりました鶴見会館の跡地利活用策につきましては、高齢者向け住宅、保育園、学校用地等を整備する方向で調整を進めております。花月園競輪場や鶴見工業高校の跡地利活用策につきましては、引き続き関係局、関係機関を交えた議論が進められることとなっております」
――昨年は市内で唯一、待機児童が増加していましたが、その対策は。
「横浜市全体では、2010年4月に1,552人だった待機児童数が2011年4月には971人に減少しましたが、鶴見区だけでみると、120人だった待機児童数が132人に増加しています。この背景には、就労を希望する女性の増加に加え、工場の跡地などにマンションが建設され、子育て世代の方々が鶴見区に転入してきていることも大きな要因のひとつであると考えております。
この傾向は今後も継続するものと思われますので、待機児童の解消のため新たな保育所の整備を進めています。今年4月には、5つの認可保育所が新たに開所し、子どもたちを受け入れられる予定となっているほか、来年度以降に向けた整備も精力的に進めています。
また、横浜保育室の整備や、一時保育を拡充するなど、多様な保育サービスを充実させるとともに、個々のニーズに合った相談や必要な保育サービスの紹介などさらにきめ細やかな対応に努めてまいります。
――最後に区民へのメッセージをお願いします。
「今年は、『生麦事件』から150年、そして新橋―横浜間の鉄道が開通し、鶴見駅が開業してから140年目にあたる節目の年です。また、昨年JR鶴見駅東口にオープンしたシークレインに続き、今年の秋には、駅東口に駅ビル(シァル鶴見)が開業する予定です。さらに西口では駐輪場が建設中でもあり、これから鶴見駅周辺がいっそう賑やかに、便利になるものと期待しております。
東日本大震災が起きてまもなく一年を迎えようとしています。復興のためには、日本全体が元気でなくてはなりません。歴史の節目というこの機会をとらえ、ぜひ、一緒に鶴見を盛り上げ、元気を発信していきましょう。本年もよろしくお願いいたします」
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