ナイス(株)を中核とするナイスグループと横浜市は10月31日、同社本社前=鶴見中央4の38の1=に健康と環境に優しい「スマートウェルネス住宅」について学べる住まいの体験型施設を開館した。横浜市とナイスが今年2月に締結した包括連携協定に基づき、慶應義塾大学の協力で新設したもの。同住宅の普及がねらいで、同社の平田代表取締役社長は「世界に発信したい」と意気込んでいる。
国土交通省が推進するスマートウェルネス住宅は、太陽光発電などを取り入れ省エネルギーに配慮された「スマート住宅」と、断熱性や耐震性に優れ、健康で安心・安全に暮らせる「ウェルネス住宅」の二つの要素を組み合わせたもの。市とナイスが低炭素社会などをめざし締結した包括連携協定による成果の一つとして、体験型施設の設置が実現した。
「スマートウェルネス体感パビリオン」と名付けられたこの施設は、体験型の展示が並ぶセンター棟と、2棟のモデル住宅から成る。センター棟には断熱材の有無で温度差を体感する「くらべルーム」などが置かれ、体験学習したものをモデル住宅で実際に見て学ぶという流れだ。
展示内容は、同住宅研究の第一人者である慶應義塾大学理工学部の伊香賀俊治教授が監修。市建築局企画調整課の鈴木和宏課長によると、産官学連携での同様の取り組みは「全国でも例を見ない」という。
高齢化で必要性高まる
国が同住宅を推進するのは、高齢化により圧迫されている社会保障費を削減するため、一人ひとりの健康寿命を引き延ばす必要があるからだ。同住宅は、室内の温度差を小さくすることで血圧が急激に変動する「ヒートショック」を予防し、木材のリラックス効果を利用して快適な睡眠環境を作り出すなど、健康寿命を引き延ばすための様々な工夫がされている。
横浜市によると、市内の新築住宅のうち断熱性や省エネルギー性などの基準を満たした長期優良住宅は、現在約20%に留まっているという。2017年までに普及率30%の実現を目標に掲げており、パビリオンでの魅力発信を足掛かりにしたいとの考えだ。平田社長は「日本は欧米と比べまだまだ足を踏み込んだだけのレベル。このような住宅が当たり前になるようにしていきたい」と普及啓発に意欲をみせる。
鶴見小の授業で活用
来年1月には鶴見小学校5年生を対象に連携授業も開催される。家庭科の「寒い季節を快適に過ごす」という単元で、太陽光発電や採光が住まいにもたらす影響を体感してもらう。鶴見小学校の益田正子校長は「子どもが関心を持つような施設にしてくれてありがたい」と開館を歓迎する。
開館時間は午前10時から午後5時。入場無料。見学は誰でも可能で事前申込制。問合せは同パビリオン【フリーダイヤル】0120・714・501。
鶴見区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|