昨年は明治維新につながった「生麦事件」発生から150年、JR鶴見駅が開業から140年、さらにはJR鶴見駅の新駅ビル「シァル鶴見」がオープンするなど、節目の年となった鶴見区。本紙では、さらなる発展を目ざす鶴見において、行政の長として区民サービスのまとめ役を担う山崎幹夫鶴見区長にインタビューを行い、今後の展望などを聞いた。(聞き手/本紙・浜田貴也)
防・減災等、事業進める
―昨年を振り返って。一昨年の震災以降進めてきた防・減災対策等、新たに手がけた事業も多かったと思いますが、今年度重点としている事業の進捗等はいかがでしょうか?
「昨年から、『笑顔と元気の輪が広がるまち”つるみ”』を基本目標に掲げ、全職員が一体感を持ち”チームつるみ”として、区民の皆様とともに、地域課題の解決に取り組んでいるところです。
重点的な取組としては、まず、『東日本大震災の教訓を踏まえた防災力の強化』です。現在、市では、防災計画の被害想定を大幅に変更し修正していますが、鶴見区では、地域防災拠点運営委員会連絡協議会に区内全小中学校長が参加するなど、地域、学校、行政との連携が進んでいます。
各地域の防災拠点では、開設・運営を中心としたより実践的な訓練が実施されていますし、キリンビール横浜工場と鶴見区との間で、大規模地震などの災害時に、工場を津波避難施設や帰宅困難者滞在施設として利用する協定を締結するなど、総合的な防災対策を推進しています。
また、地域や企業、学校が連携した『こども・青少年の健全育成』も重点に置いています。三ツ池公園(文化・環境)フェスティバルをはじめとする三大区民まつり、鶴見川クリーンキャンペーン、岸谷の防災キャンプなど、子どもたちが様々な地域のイベントの担い手となり、若い力で大いに盛り上げてくれました。本人たちにとっても異なる世代との交流は、貴重な経験になったと思います。
昨年は、春から夏にかけて、区内の全市立学校を訪問しましたが、学習支援、就労支援など児童生徒が抱える多くの問題について、認識を深めることができました。あわせて、区内企業にも訪問させていただきましたが、区内の様々な取組への協力など具体的な連携が可能かどうか検討をしているところです。
平成25年3月には、『地域ユースプラザ』が、区役所近隣にある鶴見授産所跡
地にオープンし、不登校やひきこもり等の困難を抱えている青少年の居場所の提
供、社会体験や就労体験プログラムなど、若者の自立に向けた支援を行っていきます。また、被保護世帯の生徒を中心とした高校進学のための学習支援についても、実施に向けた検討をしていきます。
最後に、区役所の『地域支援体制の充実』ですが、施策分野の枠を超えて、区が一体となって地域を支援する目的で、『鶴見・あいねっと(地域福祉保健計画)』と『防災』からなる各自治連合会単位の地区別支援チームを構築し、地域課題の共有や課題解決に向けた取り組みの方向性を検討しています」
魅力発信に注力
―「千客万来」と銘打ち、区内の魅力あるスポットを内外へ発信していく動きが活発となっていますが、今後どのように発展させていくのでしょうか?
「昨年は『生麦事件』から150年、そして、新橋、横浜間の鉄道が開通し、鶴見駅が開業してから140年目にあたる節目の年でした。区では、これを契機に積極的に区内外からの誘客を目ざして、『千客万来!つるみ』と銘打ち、スタンプラリーをはじめとした様々なイベントを、地域や企業の皆様と連携し実施しました。また、11月には、鶴見の玄関口である鶴見駅に駅ビル『シァル鶴見』が開業し、東口駅前広場や西口では自転車駐車場の整備が進められるなど、さらなる利便性の向上、賑わいの創出が期待されます。
今年は、京急電鉄を中心とした鉄道事業者と連携し、引き続き、鶴見の様々な観光資源や文化的な催事を結びつけながら、鶴見の魅力を発信していきたいと思います」
懸案課題も前に
―そのほか、区としての今年の重要課題と、その解決への取り組みはどのようなものがありますか?
「鶴見駅への中距離電車の停車が、鶴見区の長年の悲願となっております。現在建設が進められている『相鉄・JR直通線』が平成27年に開通しますと、相鉄線から来た電車が貨物線を通って鶴見駅を通り、横須賀線の武蔵小杉駅へと向かうようになります。鶴見駅を通る新しい路線ができるという数少ない機会を前に、鶴見まちづくり推進会議が署名活動に取り組み、地域、企業、学校関係の皆様のご協力もあって、多くの署名が集まりました。今後は、この署名をもって、鉄道事業者と調整を行っていきます。
また、懸案となっておりました鶴見会館の跡地利活用については、平成25年4月の開所に向け、保育所の整備が進んでいますし、『よこはま多世代・地域交流型住宅』の整備に向けた調整が順調に進められております。高齢者の方が、仮に介護が必要になられても、必要な生活支援を受けられるだけでなく、子育て世代や地域の方々との交流ができる貴重な場として、大きな期待を寄せています。
花月園競輪場や鶴見工業高校の跡地利活用は、引き続き関係局・関係機関を交えた議論を進めていきます。
そして保育所待機児童対策ですが、認可保育所の新設や横浜保育室等の多様な保育サービスの拡充を行うとともに、保育コンシェルジュによる丁寧な相談を行ったことで、市全体で平成23年4月に971人であった待機児童数が、昨年4月には、179人に減少し、鶴見区でも、132人が31人に減少しました。引き続き今年4月の待機児童解消に向け、対策を進めていきます」
「鶴見に魅了された2年」
―最後に区民へのメッセージと、今年の抱負をお願いいたします。
「区民の皆さま、あけましておめでとうございます。鶴見区長に着任し、もうすぐ2年が過ぎようとしていますが、この間、区民の皆さまの鶴見に対する熱い気持ち、歴史を大切にし、まちの元気のために明るく楽しく取り組まれる姿に非常に感銘を受け、鶴見の人・まちにすっかり魅了されてしまいました。こうした『鶴見人スピリット』を持った皆さまとともに、職員一同”チームつるみ”として、未来を担う子どもたちが誇れるふるさとを築いていきたいと思いますので、本年もどうぞよろしくお願いいたします」
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