横浜市は今年度、東京電力エナジーパートナー(東電EP)、東芝と公民連携で、市内各地に蓄電池設備を設置する。電力のピーク時需要に対応するエネルギーマネジメントシステム「仮想の発電所」の構築をめざすもの。10月から市内各区1校の小中学校に蓄電池を設置し実証実験をスタートさせ、非常時には防災用電力として使用する。
全国初のモデル
横浜市、東電EP、東芝の3者は今年7月、事業実施にむけ2018年3月31日までを期間とした協定を締結した。
実証実験では、今年度地域防災拠点に指定されている各区1校に事業者負担で10キロワット時の蓄電池設備を設置する。これまで火力発電に頼っていた電力のピーク需要に対応するためで、東芝が開発したシステムで18校の蓄電池を一元管理。東電EPは遠隔操作で充放電を総合的に制御し、電力利用量を調整。システムで全体の電力量を抑える仕組みだ。節電された電力は学校周辺の施設にも使われ、非常時には防災用電力として活用したい考え。3者はこのシステムを将来的に地域に拡大させた上で、一つの発電所のように統合的にコントロールする「仮想の発電所」として事業を行っていく計画だ。国の補助金を活用するこの事業は全国初のモデルとなる。
また、この事業を通して国が2017年に導入予定の、需要側の節電量を小売電気事業者などが売買する「節電取引市場」の形成に貢献する狙いもある。
非常時は防災用に
各学校に置かれる蓄電池設備は、幅約100cm、高さ約170cm、重さ約430kg。10キロワット時は、一般的な家庭の1日で使用する電力量でスマートフォン約1000台分。市温暖化対策本部によると、今回の防災用電力は、災害時の通信機能を安定的にする役割を想定している。防災訓練で使用方法などを広めていく。
市の担当者は「実証実験を通じて需要側による電力利用量の調整ができるのか確かめていきたい」と話す。
横浜市は今後、病院や庁舎、民間ビルなどに蓄電池設備を設置したい考え。太陽光発電など再生可能エネルギーの活用を含めた「あかりの途切れない拠点づくり」をめざしていく。
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