全国各地の図書館で学校史などのページが切り取られる被害が相次いでいる。鶴見図書館では、同様の被害はまだ発生していないが、同館が公表している最新の統計(2015年度)で、水濡れや落書きなどによる破損のため、廃棄した図書は年間1416冊あったことがわかった。
被害減らず
図書館では、蔵書のうち使用不能になった本や内容が古くなった本などを定期的に選別し廃棄している。使用不能かの基準は、本全体が汚れているなど、「利用者が不快になるか」を考え判断しているという。一部の染みなどの場合は、本に「汚れがあります」という断りのカードを付け貸出を続けることもある。
2015年度は図書を1416冊廃棄。そのうち最も多いのは、飲食物による染みがあったり、水に濡れた本で、1239冊に上る。書き込みや落書き、ページの切取り、付録の盗難などの被害も見られる。
こうした利用者の過失によって使えなくなり廃棄される本は「1500冊近いペースで推移しているのでは」と職員は話し、例年減らないという。
弁償請求難しく
本を破損したり紛失した利用者には、弁償を求めているが、実際に弁償された本は年間50〜70冊程度に留まる。「基本は自己申告制。返却された際に職員もチェックしているが、複数冊まとめて返しに来る場合などもあり、全ての中身をチェックはしきれない」と同館は話す。
弁償されない本のうち、長年読み継がれている定番の本などがある場合は同館が買い直している。「図書館の予算も減りつつある中、買い直しの費用が膨らめば、新刊購入費も少なくなる」と同館は今後の影響を懸念する。
共有財産を大事に
対策として、ポスター掲示を通じた啓発活動や、破損本の展示なども実施してきた。全国の一連の被害を受け、学校史は書棚からカウンター内に保管し、職員を通して貸し出している。
切り取りや書き込みをされやすい新聞などのクーポンやパズルゲームなどは、シールの貼付けやスタンプを押して予防している場合もある。「本は市民共有の財産。利用者皆で大事に扱ってほしい」と同館は呼びかけている。
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