横浜市は2019年度、生活困窮者を早期把握して支援につなげようと、昨年度に栄・緑両区で実施していた「地域ネットワーク構築支援事業」を全区に拡大する。各区は地域ケアプラザなどを拠点に、それぞれの特性に合わせた支援を展開していく。
生活困窮者とは、就労などの状況により経済的に困窮し、最低限の生活を維持できなくなる恐れのある人。市では、生活困窮者自立支援法(15年施行)に基づき各区に相談窓口を設け、ハローワークと連携した就職サポート、家計見直しのアドバイス、一時的な衣食住の提供などを行っている。
制度における課題の一つが、早い段階で相談や支援につなげること。市生活福祉部によると、新規相談の受付件数は年々増え、18年度(19年3月のぞく)は5492件だったものの、「まだ制度が十分に伝わりきっていない部分がある」と職員は話す。助けが必要な状態にありながらも、状況が切迫してから相談に訪れるケースもあるという。
官民連携で支え
こうした状況を受け、全区で始まる地域ネットワーク構築支援事業では、地域グループや住民と連携した支援を促し、困窮者を早期に把握するネットワークをつくる。昨年度の栄区では、民生委員・児童委員や自治会町内会員を対象に、制度を学ぶ研修会を開催。緑区では、子どもの学習や食に関する支援に取り組む団体と住民の意見交換会などが行われた。
今年度は両区の事例を参考に、各区が同事業に取り組む。具体的な取り組みは、各区が地域のニーズなどを踏まえながら決めていくという。「困りごとを抱えた人を早く見つける、気づきのネットワークをつくることができれば」と職員。また、「地域の支え合いが充実すれば、困窮者の孤立を防ぎ、生活の安定化にもつながる」と説明する。
自治体や関連団体の連携を推進する「かながわ生活困窮者自立支援ネットワーク」(鎌倉市)の阿部裕子代表は「行政サービスと、寄り添い型のサポートができる民間の力を合わせることが重要」とし、「官民連携による横浜市の取り組みに期待している」と話した。
鶴見区版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|