綾瀬市が整備を進める下水汚泥の発電関連施設がこのほど、メディア向けに公開された。市によると、下水汚泥からガスを発生させて発電に利用する下水道の終末処理は、県内では横浜市に次ぐ2例目。一般市では初という。一連の処理事業には公民連携(PPP)制度も活用し、2024年4月から20年間の契約で公民による稼働が始まる。
綾瀬市の人口は約8万3千人。下水処理は同市深谷南の綾瀬市浄水管理センターと県の相模川流域下水道が担う。直営のセンターには市全体の7割にあたる約6万人分の生活排水が集まり、総延長約200Kmの下水管から流入する汚水は日量約2万㎥、浄化した水を蓼川に放流している。
センター内で整備が進む新たな処理施設では、ろ過濃縮させた汚泥を温めながら「消化タンク」へ送り、微生物の力で発酵を促し、メタン系ガスを「ガスホルダ」に貯留する。このガスを、発電事業を担う民間事業者に売却し、発電時に生じる熱は発酵前に汚泥を温める工程に使う。現在は水分量70%の汚泥を搬出しているが、4月以降の処理では20%まで減量できるという。
処分費10分の1
この事業では設計と建設のほか20年間の維持管理を民間企業が担う公民連携を導入した。汚泥から発生したガスを使う発電事業では年間62万キロワットの発電を見込み、再生可能エネルギーの固定価格買取(FIT)制度を使い売電することで事業を安定化させる。
年間約5千トンの脱水汚泥は約900トンに減量され、年間約1億2千万円の処分費用は10分の1の約1200万円まで削減される。23年度の下水道使用料の改定では当初12%の値上げが必要だったが、この事業を見越して値上げ幅を8%に抑えた。一連の事業では市が消化関連施設の建設費として5割超の国庫補助を含む約22億5千万円を負担したが、PPPの契約期間となる20年間で約5億円の経費を削減できる。
さらに約300世帯分の二酸化炭素排出量に相当する、年間約1100トンの温室効果ガスの削減にも繋がるという。
計画を変更
綾瀬市は2050年までに二酸化炭素排出量実質ゼロを目指す「ゼロカーボンシティ」を昨年3月に表明。従来の計画通り同地に焼却炉を建設する場合と今回の新処理方法で費用対効果と環境負荷を比較して今回の方法に計画を変更した。
下水道事業を所管する森美樹土木部長は「処理方法の変更により、将来にわたる経費の削減と温室効果ガスの削減の一端も担うことができる」と効果を期待している。
施設ではすでに試運転が始まっていて、年度末までに工事を終えて、来年4月に新たな処理方法が始まる予定。
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