写真集「鎌倉のバナナたち」を5月に発表した 酒井 純華さん 千葉県在住 40歳
シャッター切らせたバナナ
○…ダイナミックな存在感を持つバナナの木。鎌倉のあちらこちらにあるその姿にひかれ、2年かけてカメラに収めた。
○…2009年3月末に都内から鎌倉へ。越してきた家の庭先にあったバナナの木がそもそものきっかけ。その植物が、学生時代に訪れたお気に入りの国、エクアドルを思い出させたという。6月にはすでにカメラを手にシャッターを切っていた。子育ての合間を縫って市内を巡り、材木座や大町、佐助、西御門などバナナの木が植わる邸宅の住人を取材。写真はネガフィルムにこだわった。親友にこのユニークな取り組みを話すと「面白い」と、作品化を勧められたという。「お話を聞いたお返しに何か残したい」という思いもあり昨年6月、偶然知った材木座の冬花社に話を持ち込んだ。夫の転勤にともなう引越しもあり、一年越しの写真集となった。
○…京都生まれの東京育ち。早稲田大学では写真部に所属し、南米やヨーロッパ、米国などカメラを持って巡る行動派。卒業後、共同通信社写真部に勤務するも3年目に体調を崩し、社を離れる。同僚のカメラマンと結婚し主婦業に専念していたが30歳を前に一念発起、写真の専門学校に通い再びカメラを手にした。鎌倉への転居は、3人目の子どもが生まれ、都内の自宅が手狭になったことと、サーフィンが趣味の夫の希望もあってのこと。
○…わずか2年ほどの鎌倉生活から離れて、まもなく1年。「街がコンパクトで緑に包まれていて、自転車で回るにはちょうどいい」と魅力を語る。「学校に慣れたり、色々ありますね」と子どものことを第一に考えながらも、「鎌倉大好き」の夫の意向もあり、いずれ戻ってくるつもりだ。
○…「気軽に手にとってもらいたい。ちょっとした息抜きになれば」と初の写真集を見つめた。「40歳の記念にもなりました。また出会いがあれば、やってみたい」と目を輝かせた。