『健爺の鎌倉散歩ノート』を出版した 中尾 健治さん 津在住 63歳
「新たな街の魅力見つけて」
○…「読んだ人に新たな鎌倉の魅力を発見してほしい」との思いでまとめたガイドブック『健爺の鎌倉散歩ノート』をこのほど自費出版した。カメラを携え市内を歩き回って10年。6つの散歩コースを設定し、4万枚にのぼるカットから厳選した195枚とともに紹介する。トリミングは一切しないこだわりようで、撮影時期やカメラの設定を明記し、よりわかりやすい内容になるよう心掛けたという。「カメラ好きな人には、この本を参考文献のように使っていただいて、より良い作品を撮ってほしい」と笑顔で語る。
○…大阪府出身。関西学院大学大学院で情報処理について学んだ後、大型コンピューターのソフトウェア関連会社に就職した。結婚し、長女が生まれたのを機に鎌倉へ移住。その後、日本アイ・ビーエムやレノボ・ジャパンへ転籍し、パソコンのマニュアル作りやカスタマーサポート体制の構築などにも携わった。学生時代に熱中していたカメラを再び手に取ったのは55歳の頃。運動不足解消のために始めた散歩とともに再開した。「きれいな風景だと思ってシャッターを押しても、良い写真にはならないのが面白い所。自分のイメージにいかに近づけるか、工夫するのが楽しい」という。
○…作品をまとめるきっかけになったのは長年連れ添った妻が闘病生活の末、昨年3月に亡くなったことだった。掲載されているほぼすべての写真は、2人で散歩しながら撮ったもの。「一周忌に間に合うよう夢中で作り上げました」。この本は2人で共有した時間の証でもある。
○…現在は2人の娘と3人暮らし。「ボケ防止に」と週3回はマンションのコンシェルジュとして働き、今でも時間を見つけては、カメラを片手に市内を散策する。「鎌倉は街中に自然が残っていて色彩がとても豊か。季節によって見せる表情も変わるので、これからも撮り続けたい」と笑顔で話した。