「ジャパンブルワーズカップ」ピルスナー部門で優勝した鎌倉ビールの醸造士 澤田 直人さん 御成町在住 30歳
”一杯”に注ぐ熱き情熱
○…全国のクラフトビールメーカーがその技術を競う「ジャパンブルワーズカップ」(1月、横浜)のピルスナー部門で優勝を果たした「鎌倉ビール醸造(株)」(市内大町)。エントリーした「特別醸造ピルスナー」の製造を担った。審査は出品者などを明かさない状態で、現役ブルワー92人が行ったもの。「同業者から認められ、素直にうれしい」と笑みを見せる。
○…千葉県出身。中・高は剣道に打ち込み、高3で三段を取得。ただ部活一筋だった反動から、「卒業後にやりたいことがみつからなかった」という。アルバイトに汗を流していたある日、漫画『もやしもん』を読み「目に見えない世界で味が変わるなんて不思議」と発酵に興味を持った。21歳で専門学校に入学。酒や味噌などの製造を学んだ後、24歳で茨城県の酒造会社に就職し、日本酒の醸造士として働いた。そんな時、たまたまビアバーで出されたドイツ産「ラオホビール」に衝撃を受け「これを造ってみたい」と思うように。ホームページで見つけた鎌倉ビールに3年前、転職した。
○…普段、同社の工房では香り豊かなエール酵母を使うことが多いが、今回エントリーした「ピルスナー」は、ラガー酵母が原料。大規模な冷却設備が整っていないと醸造が難しいが「だからこそ勝負したい」と奮起した。冬の外気温を利用し発酵させるなど試行錯誤の末、製品が完成したのは大会の直前。「コクがあるけれどスッキリとした喉ごしになった」と自信に満ちた表情で語る。
○…忙しい日々の間にも「全国にビールを飲みに行くのが息抜き」という。「次のアイデアもたくさん浮かんでいる。『とりあえず一杯』イコール鎌倉ビール、になるくらい市民にとって当たり前のものにしたい」。その挑戦はこれからも続く。