鎌倉警察署の新署長に就任した 猪俣 秀彦さん 雪ノ下在住 56歳
新戦略で鎌倉を守る
○…鎌倉警察署長になり2カ月。増加し続ける振り込め詐欺の撲滅を、最重点事項にあげる。早速新たな取り組みに挑戦。「市民の財産を守るため」と市に協力を依頼し、防災無線を活用した定期的な注意喚起を初めて実施するほか、「プロジェクトチーム」を結成しカードを奪おうとしていた受け子を逮捕するなどの成果を上げている。「地域にフィットするやり方を探り、これからも労を惜しまず行動していきたい」と力強く語る。
○…川崎市出身。前任は過激派対策を主な任務とする公安第三課。昭和から改元となった時にはテロ、ゲリラ事件が百数十件発生していたことから、テロ等の情報を探るなど、「緊張感漂う」2年間を過ごした。生前退位が発表された当時は葉山町の署長を務めており、上皇ご夫妻は静養のため葉山御用邸に滞在中だったという。「この数年間は緊張感と責任ある仕事にかかわってきた。その分、非常にやりがいもあった」と振り返る。
○…8年前、悪性リンパ腫により妻を亡くした。病が分かって以来、3人の息子たちと家事を分担してきた。「単身赴任を含め異動が多く、家族には苦労をかけた」という思いも強い。だからこそ、署員への初めての訓示は「家族を大切に」と呼びかけることに決めている。「自分で言うのもなんですが、息子たちは素直に成長してくれた。妻がいたらきっと喜んだだろうなと思うことも」と目を細める。
○…仕事の息抜きは、旅行や散策。昨年は母校のある京都に3度も足を運んだ。スマートフォンには紅葉で真っ赤に染まった等持院での「ベストショット」が収められている。「連休には息子たちが鎌倉に来てくれた。寺院をめぐるのも好きなので、歴史ある鎌倉は見どころも多く楽しみ」