鎌倉の「海」を描き続ける画家 亀山 和明さん 七里ガ浜在住 59歳
日々異なる海の表情描く
○…地元鎌倉を中心に、湘南の「海」をテーマにした作品を発表し続けている。由比ヶ浜海岸を臨むデイジーズカフェでの常設展示に加え、10月16日からは江ノ電江ノ島駅そばのギャラリーTで原画展を開催。また、稲村ガ崎で開催中のスタンプラリーの特典となるバッグのデザインも手掛けた。「高尚な手の届かない『芸術』よりも生活の横にある『壁の絵』でありたい」。そんな思いで創作してきた作品が地元の人の生活を飾る。バッグを手にした人からの反応も上々だ。
○…愛知県出身。デザイン学校を経て、グラフィックデザイナーの道に進み、自動車メーカーなどの広告デザインを担当。だが、働くうちに自身の信念と異なるものを作るもどかしさを感じ、モチベーションも下がっていった。40歳の時「自分がいいと思うものを作って、ほんの少しでも支持してくれる人がいればいいんじゃないか」と画家への転身を決めた。
○…といっても絵を本格的に描くのは約20年ぶり。初心者向けの画材セットを買い、毎日ひたすら練習することから始めたという。題材として「海」を選んだのは「飽きっぽいけれど、自然相手なら長く向き合える」と思ったから。転職前に海を見てリフレッシュできたことも理由の1つ。「今度は自分の作品から安らぎを感じてもらえたら。描き込みを抑えている分、それぞれの感覚で想像してほしい」
○…18年前、妻と娘と共に七里ガ浜に転居。「アトリエ代わり」の海での創作を日課とし、3年間1日も欠かさなかったこともある。「野球の素振りのようなもの」と、描き続けた作品は約4300枚に上る。「海の表情は日々違って面白い。自分は目で見たものを描くだけ」とほほを緩めた。