独自の食料支援活動を続ける「うしおだ診療所」で所長を務める 渡部 琢也さん 本町通在勤 58歳
安心して過ごせる地域に
○…「誰も置き去りにしない医療」を目指し、コロナ禍でも発熱外来や1万回を超えるワクチン接種などを行ってきた「うしおだ診療所」の所長を務める。コロナ禍から続けてきた食料支援活動は、地域住民が「健康で文化的な生活を送れるように」と企画したもの。「周辺地域を安心して住み続けられるまちにしたい」と意気込む。
○…福島県出身。大学院卒業後に臨床医を務め、その後、研究医として遺伝子や動脈硬化などの分野で25年以上研究を続けて44歳で教授に。「10年後の医療を考えよう」を合言葉に研究に明け暮れてきた。4年前に「コロナ禍でひっ迫する医療現場の支えに」と改めて臨床医に戻る決断をし、同診療所に勤務するように。その最中、長年連れ添った妻をがんで亡くした。突然の出来事に途方に暮れたが、「研究医時代とは違って、今、目の前にいる人を助けたい。そんな思いが強くなった」と言葉を噛みしめながら語る。それからは通常の診療に加え、地域に出て病気の予防の大切さを訴える訪問活動も積極的に行っている。
○…医師を目指したのは「医学の研究をしたい」という探究心からだった。帰宅した後、遅くまで論文を書いている姿に「受験生」と呼ばれていたことも。「今は地域医療にスイッチが入っている、切らさないようにしたい」とほほ笑む。
○…治療だけでなく、地域医療の情報を欠かさず調べ、神奈川県のがん検診の指標にも注目している。首都圏に近いほど受診率が低い状況があるほか、「各種のがん検査の受診率を見ても、神奈川県は他県と比べて最下位に近い」と危惧する。「がんは定期的な検診で判明することもある。未病で止めるため、今後も啓蒙活動に努めていきたい」と力強く語った。
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