熱血討論緊急寄稿26 議会と首長、二元代表制とは?大阪都と横浜特別自治市 横浜市会議員 花上(はなうえ)喜代志
2月9日の各新聞に「横浜市など16政令市の議長が8日、道府県と同等に地方の事務を一元的に行う権限を持つ『特別自治市』の創設を総務省と民主党に要望した」との記事が掲載されました。
これは大阪維新の会の代表を務める橋下大阪市長が主張する大阪都構想に注目が集まる中、政令指定都市が以前から提案してきた「特別自治市」への議論を加速させることを目的としています。
大阪都と特別自治市の違い
それでは、大阪都構想とはどのようなものでしょうか?大阪には府と大阪市があり、二重行政の弊害があるとして、大阪市を複数の特別区に解体し、大阪都に司令塔を一本化するというものです。
それに対し、横浜市など政令指定都市は二重行政を無くすため、道府県から独立して、権限や財源を特別自治市に移譲すべきとしています。これは、長年にわたる政令市が持つ行政ノウハウの活用や、基礎自治体の行政能力の向上を目指した平成の大合併との整合性とも合致する主張といえます。
橋下流の意思決定とは?
9日付の朝日新聞の社説に「大阪ブレーン政治の功罪」と題する前田史郎氏の論評が掲載されました。内容は、橋下市長が発足させた「大阪府市統合本部」がスピード重視で、議論の余地が残る議題も次々と結論を出していく手法に疑問を呈し、橋下市長が任命した「特別顧問」という「同じ価値観の人々が最後は政治力で押し切る形は、やはり突っ走り過ぎの印象が否めない」としています。
議会の役割とは?
こうした市長の手法に対し、最終的な意思決定は議会が行う訳ですが、問題は、首長が政党の代表である大阪維新の会の議員が多数を占める府・市議会は、橋下氏の提案に異議を唱えることはあり得ず、「市長のブレーンである統合本部の決定が重みと権威を持つ」ことになり、「結局、首長主導で物事が一方的に決まっていくパターンが続く」ことに前田氏は懸念を示しています。
市民が首長と議員を選挙で選ぶという二元代表制の意義は、お互いに市民の代表としてチェックし合う緊張関係が必要です。
私は大阪のことは大阪市民が決めるということに異議を唱えるものではありません。しかし、首長が政党をつくり、自分の意思に従うだけの政党の議員で多数を占めることには賛成できません。それなら、議員を選ぶ意味はなく、首長だけを選べばいいことになりかねません。事実、大阪市議会議長は今回の政令市議長会の要望に加わりませんでした。
次回は横浜市の目指す大都市制度「特別自治市」について寄稿します。
花上喜代志
|
|
|
|
|
|