上尾野辺選手本紙独占インタビュー なでしこ JAPAN あきらめない気持ちが夢を実現!
明るい話題が少なかった2011年の中でも、日本中を歓喜の渦に巻き込んだのが「なでしこジャパン」のワールドカップ優勝。しかも、瀬谷区出身の上尾野辺めぐみ選手(25)が「なでしこ」の一員として国民栄誉賞に輝くなど、私たち瀬谷区にとっても大変嬉しい出来事でした。そこで本紙では、年頭を飾る特別企画として、上尾野辺選手にご登場いただき、過去・現在・未来について聞きました。
(聞き手:本紙記者 松尾卓也 アルビレックス新潟クラブハウスにて)
−昨年はドイツW杯優勝、ロンドン五輪出場権獲得と飛躍の年になりましたね。
ドイツでのW杯優勝は誰もが体験できることではないので自分のサッカー人生においてとても良い経験になったと思います。少し出場できた準決勝のスウェーデン戦で試合終了の笛を聞いた時、チームの勢いがひしひしと感じられたので「このまま優勝できるんじゃないか」という感じはしていました。ただ今大会は試合に中々出られず出場時間が少なくて悔しい思いが強いです。
−ロンドン五輪予選では、特にタイ戦でアシストを決めるなど攻撃面でも光りました。
パスを出した川澄選手とは高校までずっと同じチームでプレーしていて、どこにボールが欲しいのか目でわかったのでラストパスを出すことができました。
自分の魅力は攻めへの姿勢
−リーグでは9得点(リーグ3位タイ)9アシスト、超ロングシュートもありました。
試合中にゴールを見る回数を増やしたりすることでゴールへの意識を強く持つようになりましたね。目標にしている10得点10アシストに届かなかったので、もっと追求していきたいと思います。ロングシュートについては「狙った」と言いたいところですが、正直驚きました。ただ以前だったらゴールまで30メートルもある場面では確実にパスを選択していた。前に出る姿勢をアピールできたと思うのでこれからもその姿勢を続けていきたいです。
−チームでは攻撃的MF、代表では左DFなど守備を求められることが多いですが、ポジションのジレンマなどはありますか。
自分の行きたいタイミングで攻撃に参加できなかったり、上がっていってはいけないことも多いので前線の選手は「いいなぁ」と思いながら見てました。
−やはり守備より攻撃の方が好き?
守るよりはね。代表でもディフェンスからの組み立てや攻撃参加を求められているのでしっかりやりたいです。
−W杯後は多忙な中、瀬谷にも凱旋されましたね。
あの時はゆっくりご飯を食べる暇もないほどでした。でもあの場を用意してもらってすごく嬉しかった。しかも一度にあんなに人が来てくれるなんて。あの人数に囲まれてサインするのはあまり無い経験なのでおもしろかった。家族や馴染みの顔も見られて、久々に地元の空気が感じられて良かったです。
女子1人で始めたサッカー
−サッカーを始めたきっかけは。
近所に住んでた従兄弟のお兄ちゃんがサッカーをやっていて、それを追いかけて始めたのが最初かな。
−スポーツも色々あったと思いますが。
幼稚園の友達に男の子が多くて一緒に夢中になってボールを蹴ったり、追っかけてましたね。体操もやってたけど、やっぱりサッカーだったんでしょうねえ。
−サッカーを始めた原FCでは女子チームもできて、今では23人も在籍しているとか。
当時は私以外みんな男の子で、練習している時は良かったんですけど、合宿とかはつまらなかったですね。1回目以降は行きませんでしたから。地元に女子チームがあるというのは本当に嬉しいです。自分が始めた頃はチームも少なかったですし、進学してサッカー練習の環境も厳しく、電車で1〜2時間かけて行くこともありました。今はフットサルコートなどが増え、女子も小さい頃からサッカーに触れる機会が増えてきてとても良いことだと思います。
−サッカーやめたいなと思ったことはありますか。
何度かありましたね。アルビレックス入団以降も自分の希望通りのサッカーができず、そう思ったこともあります。でもチームメイトに話した時に「今やめたらもったいない」って言ってもらえたのが大きかったですね。あと、やめたいというのとは違うのですが、高校生で父を亡くした時は「このままサッカー続けてて良いのかな」と悩んだこともありました。そんな時も母が「あなたは今まで通り続けなさい」って言ってくれて。やっぱり周りの人の声に助けられました。
ロンドンへの思い
−ロンドン五輪代表選考が間近に迫っている中ですが、意気込みをお願いします。
五輪は予選からさらに登録人数が3人減るので、W杯よりもさらにメンバー入りが厳しい戦いになると思います。でもチームで結果を残してしっかりアピールしたいです。五輪予選の時には前線のポジションをやらせてもらえたので、今後もそれを継続してやれたら良いと思います。
ワールドカップ優勝時に原幼稚園で祝勝会。未来のなでしこたちと一緒に
男の子たちにまざってプレーする幼稚園時代(5歳・右から2人目)
アルビレックス新潟レディースでは攻撃を引っ張る
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