介護事業などを展開するNPO法人「ワーカーズわくわく」(中野しずよ理事長)で今月から地域交流サロンが開かれる。サロンのチーフになるのは、ブ・ビェット・ユンさん(28)。障害を抱えるユンさんは「居場所がない人が集まれる場所にできたら」と話す。
ユンさんは専門学校の学生時代、身体の痛みで病院に行き、検査で精巣ガンが見つかった。ガンの転移で脊椎が傷付き、足が不自由に。その後2年近く闘病生活とリハビリが続いた。
リハビリ施設を出た後、同級生と遊ぶ時間も多かったが、「みんなが就職して社会人になっていくにつれ、『何もしないってだめだ』と思うようになった」と就職活動を始める。車椅子でも仕事ができる環境の会社を探して応募するも、「社会人経験や仕事の実務経験がなく、書類選考で落とされることも多かった。何度も心が折れた」。その度に気持ちを持ち返し、昨年区役所で同法人の求人を知り、6月に面接を受けた。
働き始めたのは9月から。現在は新人研修中で、事務の手伝いや福祉関係の研修会で勉強する毎日だ。
病気で突然障害を持つことになり、「ネガティブな気持ちは常にあるけど、それに引きずられないで生きたい。できることもたくさんある」。落ち込む気持ちを根底に抱えながらも、笑顔や声には明るさが戻った。
今後他のサロンの様子なども見て回り、実務に向けて準備する予定だという。
自身も家に一人きりでいることが多かった。サロンを「障害者や高齢者など、平日に居場所がない人たちが気軽に集まれる場所にできたら」と展望を話した。
同法人の中野理事長は「社会人経験がないまま障害を持った若い人たちは、社会参加のチャンスがないのでは」という。「雇用は自立支援でもある。地域で人の力になれることを実感してもらえたら」と話した。
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