横浜の街を駆ける夢(中) ランナー目線の大会を 横浜マラソンを「世界へ」
多くのランナーを引き付ける横浜マラソン―。開催に尽力した神奈川県走友会連盟の創立メンバーの1人で、理事長などを歴任した三島啓三さん(80・南区)=写真=もかつて横浜でフルマラソンを走ることを望んだランナーだった。
大会の企画案を話し合った当時のことを「あの異様な雰囲気は忘れられない。皆が『さあ、やろう』という感じで開戦前夜のようだった」と振り返る。
「走るとすがすがしい気持ちになり、悩みも解消できる。走らないと味わえない感覚」。長年の経験から、走る快感を語る。海外で行われた大会へも多数参加し、中でもアメリカのニューヨークシティマラソンへの参加は20回を超える。フルマラソン以外の種目も含めて約5万人のランナーが参加し、沿道の観衆は約200万人ともいわれる世界を代表するこの大会を「街と大会が一体となっている」と評価。世界各国の大会を見てきたからこそ、海外に劣らない大規模な大会を地元・横浜で実現させたいと願ってきた。
現在、東京を含めた6つの大会がワールドマラソンメジャーズと呼ばれるツアーを構成しており、この6大会が世界6大マラソンといわれている。いつの日か、横浜マラソンがこの6大大会と肩を並べ、「世界の7大マラソンに数えられるようになれば」。横浜マラソンに対する期待は膨らむ。
30年越しで実現したフルマラソン。現在は走ることをやめ、運営からも退いているが「やるからにはランナーの目線に立った大会にしないと」と話す。例えば、ランナーがしっかり休めるように給水ポイントを充実させ、ゴール地点は多くの観衆で盛り上げる。みなとみらいや赤レンガ倉庫などを走る魅力的なコースを生かしてより良い大会にするために、多様な視点からランナーの気持ちに思いを巡らす。三島さんはこの大会がランナーから、そして世界から認められる日を夢見ている。
(つづく)
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