ポコラート公募展入選
新たな文化芸術の拠点施設として2010年6月にオープンした、アーツ千代田=東京都千代田区=の立ち上げと同時に始まった『Pocorart(ポコラート)』。ポコラートとは、障害の有無に関わらず人々が出会い相互に影響しあう場という意味のPlace of ”Core+Relation ART”が語源のアートプロジェクトだ。ポコラートの中心的な活動の1つ「ポコラート全国公募vol.5」で瀬谷在住の関沢優さんの作品が見事、初応募で入選に輝いた。
障害のある人、ない人、年齢問わず、アーティストが、自由な表現の場を目指してつくる公募展に全国から絵画や写真、彫刻など1286点の応募があり、その中から選ばれた203点が入選作品として7月20日までアーツ千代田の1階メインギャラリーに展示されている。関沢さんは「まさか入選できるとは思わなかったので嬉しい」と少しはにかんだ笑顔を見せた。
墨笑会との出合い
関沢さんは89年生まれの25歳。小さい頃から筆を使うこと、字を書くことが好きだった。下瀬谷中学校の個別支援学級に通っていた時、陶芸の授業で現・墨笑会の青木健さんと出会う。「上手に書かなくていい。気の向くまま、文字や言葉の美しさを、墨の力を借りて自由に表現しよう」という同会に強く惹かれ、入会を決めた。
その後、父親の仕事の事情で16歳の頃から2年間、スペインの美術学校に通う。学校では絵画のデッサンからタイル工芸など、さまざまな芸術について学んだ。芸術の国、スペイン。「優ちゃんの感性に少なからず影響があったかもしれないですね」と母の智子さんは話す。「書くのが大好き」な関沢さんは、帰国後、青木さんに再会、墨笑会の月2回の活動に通い始めた。
好きな花のように
今回の入選作品は雨がしとしと降っているような情感たっぷりの作品。「この作品は好きな作品だった」。母の智子さんは「優ちゃんぽさが出ていて良いかな」とこの作品を応募。入選の連絡が来た時は親子で手を取って喜んだ。
本当は「黒だけだと暗い感じがするので、墨と他の色を混ぜて使うのが好き」と話す関沢さん。その言葉どおり、関沢さんの作品には墨の濃淡だけでなく、ピンクや青、茶色など自由な色使いの作品が目立つ。中にはイラスト入りのものも。「お花屋さんが大好き。お花の色で字を書きたい」と目をキラキラさせた。
関沢さんは現在、泉区の就労支援作業所で働きながら創作活動を続けている。「まだまだ書きたいです」と笑顔で語った。
※関沢優さんの作品を紹介する新コーナー「気の向くまま」が今号より始まりました。関沢さんの心温まる作品を掲載していきます。読者の皆さんがほっこり温かい気持ちになれますように。
――瀬谷区編集室
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