横浜市は5月中旬から、ひきこもり等の困難を抱える若者の専門相談を全区で開始する。市の推計では、対象者は8000人超。既存の機関に加え、新たに年間約1300人相談可能な受け皿を増やすことで、より手厚い支援につなげたい考えだ。
ひきこもりとは、6カ月以上に渡って社会参加を回避し、概ね家庭に留まっている状態を指す。
市こども青少年局によると、横浜市には家庭や学校での人間関係や就職活動のつまずきなど、社会的、心理的などさまざまな要因で不登校やひきこもり状態になってしまう若者(15〜39歳)が8000人以上いると推計されるという。これは2012年に市が市民3000人を対象に実施した「子ども・若者実態調査」の結果から導き出した数値。市ではこうした現状を課題と捉え、対策を検討してきた。
市はこれまでにも、段階的な支援体制を整えた機関で、ひきこもり解消に向けたサポートを実施してきた。ひきこもり支援の初期段階から総合的な支援に関しては「青少年相談センター」(南区)で対応するほか、回復期にある青少年の居場所運営等の機能を持つ「地域ユースプラザ」を4カ所(鶴見区・保土ケ谷区・磯子区・都筑区)に設置している。
また、「若者サポートステーション」(横浜駅西口ほか)では社会復帰に向けた就労を支援しており、15年度の新規利用者数は青少年相談センターが229人、地域ユースプラザが293人、若者サポートステーションは1111人となっている。
区役所で毎月2回
新たな専門相談は5月16日から順次、市内18の区役所で月2回のペースで実施される。
区役所は市民にとって身近な存在であることから、市はより多くの若者やその家族の支援につなげたい考え。市担当者は「『どこに相談すればいいのか?』といった疑問が解消されるほか、利便性が向上される。新たに年間で約1300人の相談を受けることができる」と期待する。
相談にあたるのは社会福祉士らで1回約50分。費用はかからず事前に予約が必要。対象となるのは市内在住で15歳〜39歳の若者とその家族となる。「本人や家族だけでは対処が難しく、自ら相談をしないまま長期化、深刻化するケースも多く見られる。抱え込まずに相談を。今後は各地域の関係団体と連携しながらニーズを掘り起こしていきたいと考えている」と市担当者は話している。
各区の担当窓口は、こども家庭支援課(中区・戸塚区は生活支援課)。
瀬谷で昨年から同様の試み
瀬谷区では、同様の取り組みを昨年5月から行っている。毎月第1・3火曜の午後に、保土ケ谷区の地域ユースプラザ職員が「出張」して相談に応じる。
事業を始めて間もない頃は相談件数が伸び悩んでいたものの、今年3月は全ての相談枠が埋まったという。「よく知っている区役所だから、安心できるのでは。また、専門家の支援を、身近な場所で受けられる点も大きい」と区担当者。今後は更なる認知度向上が必要だとして、「より多くの人に利用してもらえるよう、様々な方法で周知していきたい」と話した。
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