社会に大きな変化をもたらした新型コロナウイルス感染症。これからの季節はインフルエンザの流行も懸念されており、例年以上に感染予防が求められる。瀬谷区医師会副会長で、瀬谷区休日急患診療所長の池部敏市医師(池部小児科・アレルギー科)に感染対策や受診時の注意点を取材した。
今年の流行状況
--感染症対策で区民に伝えたいことは。
「新型コロナウイルス感染症対策として、国内では早くからマスク着用や手洗い、器具の消毒が励行され、三密を避ける行動が浸透したことは記憶に新しいところです。その結果、日本は世界から注目されるほど感染者の発生抑制がなされ、急激な感染拡大を防ぎ、医療崩壊からくる死亡者の急増を避けられました。
今年は一般的な風邪やインフルエンザ、子どもを中心に夏に流行する手足口病やヘルパンギーナなどの流行がほとんどありませんでした。新型コロナに対する地道な感染防止策が、その他のほとんどの感染症に対しても防止策として実効性のあるものだと証明されたことになるでしょう。まだまだ新型コロナとの戦いは続きます。気を緩めることなく日々の感染症対策を新たな生活様式に取り入れていきましょう」
--コロナ禍における「かかりつけ医」の重要性とは。
「新型コロナの初期症状は鼻水・微熱・咳などで、通常の風邪と見分けがつきませんが、その多くは単なる風邪です。したがって風邪症状で医療機関を受診される方は、皆さんの健康状態を理解している『かかりつけ医』を受診することがお勧めです。これからの季節は例年、インフルエンザが流行ります。インフルエンザでは国内で毎年1万人の死亡者が報告されており、これは新型コロナの死亡数よりはるかに多い人数です。早めにインフルエンザワクチンをかかりつけ医で接種する事も大切です」
症状がある場合は受診前に連絡を
--新型コロナの影響による受診控えも懸念されています。
「軽い風邪症状の方のほとんどは普通の風邪であることから、健康で症状の軽い方は自宅で経過をみることが可能です。しかし、高齢者や心臓病・高血圧・糖尿病などの基礎疾患のある方は早めの受診も考えてください。体調を崩さないためには、基礎疾患に対する継続的な通院治療も大切です」
--受診時に注意すべき点はありますか。
「病院や診療所では現在、待合室での密集の緩和策、換気による密閉の回避、マスクや防護服着用による密接の防止、診察室や器具の清拭・消毒などの感染防止対策を進めています。明らかな発熱、鼻水や咳といった症状がある時は、事前に電話連絡してから受診するようお願いします」
--休日診療所の場合は、どのように利用すればよいでしょうか。
「休日診療所では日曜祝日や年末年始に、急病になった方の受診先としてかかりつけ医に代わり診療します。診察を行い、適切な診断のもとに可能な検査や処置を行い必要に応じてお薬を出しています。しかし、一般の医療機関と同じような設備はなく、病状が重いと考えられたときは適切な対応が可能な医療機関に紹介・搬送しています。また、新型コロナ感染症の検査などは行っていません。
年末年始など混雑が予想される時期は休日診療所内での三密状態の発生が予測されますので、瀬谷区の休日診療所も事前に検討して十分な対策を講じています。密集対策として休日診療所を受診される方には、受診前に電話連絡をいただいたうえで、適切な受診方法をお願いしていますので、ご協力ください」
--本日はありがとうございました。
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