横浜市では「横浜市教育振興基本計画」(2010年度〜14年度)の素案に、特別支援教育の推進を重点施策として盛り込み、今年度中の策定を進めている。発達障害や情緒障害などを持つ児童・生徒の増加を背景に、障害の多様化に応じた教育内容の充実や、教室不足に対する環境整備が求められている。
市内における、特別な支援を必要とする児童・生徒は年々増えており、特別支援学校や個別支援学級の児童・生徒、普通学級に在籍して通級指導教室に通う児童・生徒の数は、2009年度で7209人。背景にはこれまで顕在化していなかった発達障害などが認知されるようになり、特別支援教育の対象となったことなどが挙げられる。
市立小学校の個別支援学級で教える教諭は「児童の増加に加え、障害も多様化している。障害の度合いも幅広く、それぞれに合った指導が求められている」と、教室運営の課題を話す。
特別支援学校では、教室不足や狭あい化が深刻だ。本郷特別支援学校(栄区)と港南台ひの特別支援学校(港南区)では、09年度の知的障害児童・生徒数が施設規模に対して約1・2倍だったほか、4倍近い児童・生徒が通っている県立養護学校も。市内の県立養護学校の教諭は「特に高等部で生徒の増加が目立つ」といい、市では「これまで個別支援学級や普通学級にいた生徒も、高校ではより専門的な教育を求めている」と話す。
こうした状況に対し市は、学校の新設や人材育成などを図り対応する方針だ。横浜市教育振興基本計画素案には、新治特別支援学校(緑区)を旭区若葉台へ移転し施設規模を拡大する整備計画や、狭あい化が進む中村特別支援学校(南区)の環境改善が盛り込まれた。昨年度末に再編統合した旧市立日向山小学校(瀬谷区)の跡施設では、県が特別支援学校の新設整備を進める。また同計画素案では、現在市内の19校に設置されている通級指導教室についても、増設に向けた再編・整備計画を実施するとしている。ソフト面では「自閉症教育の手引き」の作成や、特別支援教育コーディネーターの育成などを計画素案に掲げ、障害の特性に応じた指導体制の充実を図りたい考えだ。市は「県と連携を図りながら、環境整備や指導内容の充実を図りたい」と話している。
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