いじめと向き合う(中) 道照らす”第3の居場所”
学校でも家でもない”第3の居場所”がいじめを受ける子どもの心を軽くすることもある。
金沢区にある「カナカツ」は市こども青少年局が団体に運営委託する「青少年の地域活動拠点」の一つ。団らんスペースのある駄菓子屋に学校帰りの小中高生や大学生、地域の大人が集う。利用者は1日平均20人。雑談をしたり、宿題をしたり――各々の使い方で放課後を過ごす。
カナカツの目的は青少年が仲間や異世代と交流する地域の居場所となること。その活動がいじめを受ける子どもを救う場にもなる。「仲間外れにされたと相談すれば、先輩や大人が『そういうこともあるよ』『皆通る道だよ』と言ってあげる。異世代と話す中で『学年が変われば』『大学に行けば』と希望を持てる」と話すのは、運営母体で10年以上子どもの不登校や自立を支援する、認定NPO「コロンブスアカデミー」(磯子区)の渡辺克美理事長だ。
ささいなことがいじめのきっかけになることも多い。かつて、たわいない”からかい”が原因で、20年以上ひきこもりになった男性が同団体に相談に訪れた。男性は家族にも辛さを話せず居場所を失った。「子どもは『いじめられている』とは言わない。クラスで関係をつくれないと苦しいが、他に友達や居場所があると思えれば自信を持てる」と渡辺理事長は強調する。「逃げ道がある」と知ることが不登校やひきこもり、最悪の事態である自殺の予防につながる場合もあるという。
主任児童委員も見守り活動や学校を通し、状況に応じてカナカツを紹介する。金沢区主任児童委員連絡会の長瀬美鳥(みどり)代表は「自分を見ていてくれる人」の存在で救われた子どもの姿も見てきた。「地域で関係をつくる中で、先生や親とは違う大人に悩みを吐き出してくれる」と話す。
「さまざまな世代と関わり経験値を上げることが、いじめや不登校を乗り越えるきっかけになる」と市の担当者も、同拠点の持つ側面に期待を寄せる。金沢区以外に同様の拠点があるのは、現在、保土ケ谷区、都筑区、南区、栄区の4区。市は今後18区全てに設置していく予定だ。
―続く
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