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鶴見区 人物風土記

公開日:2015.05.21

3周年を迎えた鶴見区精神障害者生活支援センターの所長を務める
芳垣 康彦さん
豊岡町在勤 55歳

「ありがとう」に報われて

 ○…「見返りを求められる仕事じゃない」。それでも福祉一筋で約30年間汗を流してきた。精神障害者の相談に耳を傾け、自立支援などを行う鶴見区の生活支援センターが、今年4月に設立3周年を迎えた。「精神障害者にとって最後の拠り所。自尊心を取り戻せるよう、『ありがとう』の言葉をかけてあげることが大切」。感謝を込め、5月27日の記念コンサート企画の準備に奔走する。

 ○…東京都生まれ。「子どもが好きだから福祉がいいんじゃない」という姉の一言で、社会福祉学科への進学を決めた。大学卒業後は中区の福祉事務所のアルバイトを経て、更生施設横浜中央浩生館に20年間勤務。シンナーやアルコール依存症、中には服役を繰り返す人もいたが、持ち前の明るさで心を開いてきた。それでも時折「自殺者がでるのはつらかった」と苦悩をのぞかせる。現場は人手不足に悩まされるも、報酬単価の安さゆえに人を雇うと赤字になるというジレンマがある。それでも、「ありがとうの一言に報われる」

 ○…つらいことがあれば仲間とともに飲み明かした。「お前の特技は酒飲みだとよく言われる」と屈託なく笑う。鶴見駅西口の「ごっそや」はお気に入りの一店。しばしば同僚を連れて足を運ぶ。「焼酎がたくさんおいてあってね。ついつい仕事について熱く語っちゃう」。そんな背中を見てか、長女はこの春同じ大学で社会福祉を学び始めた。「頼むからちゃんと通ってよと言ってるんだけど」。ニンマリと嬉しそうに語る。

 ○…今年から鶴見神社の夏祭りにブースを設けるなど、一層地域との結びつきを強めていくつもりだ。「病気があろうが障害があろうが、みんな一人の人間。まだまだ偏見が残っているが、笑顔を見てもらえれば何も変わらないんだとわかる」。もちつき大会やたこ焼きパーティーなど、実現したい地域交流企画が目白押し。「最後の拠り所」として、懐を広げていく。

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