9月から「なまむぎこども食堂」を運営する 柳瀬 正勝さん 生麦在勤 83歳
当たり前の”奉仕”を胸に
○…昨春ごろからイメージし、準備を進めてきた「こども食堂」。生麦地域ケアプラザを会場に、いよいよ9月からスタートさせる。「子どもだけでなく、独居の高齢者など利用は妨げない」。防ぎたいのは、一人で食べる「孤食」、同じものだけを食べる「個食」。年代問わず空気を共有し、交流する。みんなの食卓を目ざす。
○…生麦育ち。教育関連の出版社に勤めたのち、花月園前で書店を開いた。「30年くらい。出版不況が始まって廃業した。今考えると早い決断だったかな」。17年ほど前、当てのない廃業だったと笑う。書店組合の事務局に勤めながら、かながわ県民サポートセンターが募集していたボランティアアドバイザーに応募。2年間務めた。そして12年前、知人に誘われ、子育て支援施設である「はなはなひろば」の立ち上げに携わった。共鳴したボランティア精神。遊んでいた空き店舗を貸すだけでなく、活動にも参加した。
○…「ごくごく自然にあったのだと思う」。自身のボランティア心を評する。きっかけは良き先輩との出会い。中高時代、さまざまな場所に連れられ、手伝いをした。忘れられないのは、戦災孤児施設だった県立中里学園。一緒に遊んだ帰り際、孤児たちから投げかけられたのは「バカヤロー、死んじまえ」の一言だった。「帰ってほしくないと思ってくれた」。誰かのために奉仕する――素地ができた瞬間だった。
○…ボランティアとはという問いには「改めて考えたことはない」と答える。癖みたいなもの。ただ今回は、「最後の仕上げ」。そう感じている。「上野の下町育ちの妻は、近所の子と一緒にご飯食べるのが当たり前だったと言う」。食の環境は今よりも悪かった時代にあった「いいよ、食べていきな」の光景。そんな居場所を作っていく。
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