鶴見消防署の第48代署長として指揮を執る 下枝 昌司さん 泉区在住 58歳
ただ、ひたむきに守る
○…計294人、市内最多の職員を抱える鶴見消防署。実は入局後、最初の配属が鶴見だった。今春、その先頭に立った。「まさか、こんな大きな署を任されるとは。身が引き締まる」。初の署長職。「助けに行く人に何かあってはいけない」。区民はもちろん、職員の安全も守る立場。「懐かしく帰ってきた感じ」。縁ある場所での重責。柔和な表情の奥に、覚悟と決意がのぞく。
○…市立東高校出身。入局は1981年。「仲間が消防を受験するというから。そんな理由だった」と笑う。配属された末吉出張所。救助隊員として出動した最初の現場が、「何となく」だった心を砕いた。鶴見川に転落した男性の救助。先輩が引き揚げたときには手遅れだった。生死に直面する仕事。記憶に刻まれた。「今も怖い。でも人の役に立つ」。その思いで、ひた走ってきた消防の道。長く警防畑の職務に励み、職員が働きやすい環境を整えてきた。
○…その土地にある雰囲気を感じ、見聞きするのが好き。お気に入りは京都や山梨県の勝沼。妻と2匹の犬とともに行く、ワイナリー巡り。「車なので、妻がテイスティングして、家に帰ってからゆっくり」。ただ、それもコロナで自粛中。「もう少し先の楽しみですね」とほほ笑む。
○…「派手なことが得意じゃなくて」。これまでの裏方から一転、前面に出ることが多いと、緊張感をにじませる。就任後、職員には「地道にやっていれば、きっと誰かが見てくれる」。そんな言葉をかけた。重要だとする区民からの信頼獲得。ひたむきな努力で得ていくつもりだ。「緊急事態宣言もあって、地域の方にあいさつもできていない」。改めて切るスタート。山積する新たな課題。一つずつ着実に、乗り越えていく。
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