海老名むかしばなし 第25話 「<実話>「忠魂碑」建立記(二)」
(前回の続き)
「これをあの丘の上まで運ぶのが大仕事でした。隣りの、当時の座間村からトビ職の高橋広吉さんという棟梁を呼んで運搬の指導をしてもらったのですが、この高橋さんを中心に、牛一頭と在郷軍人が総出で石にロープをかけ、丘の上へ引いていったのです。
その有様はまことに盛観で、大石の上に高橋さんが乗って扇を振って気合をかけると、牛と在郷軍人五、六十人が全力で引っぱるという、まあ、相模国分寺の建立もかくありなんと思われる光景だったそうです。今の人は機械を使ってやることを考えるでしょうが、人間の力も大したもんですよ。
こうして、明治三十九年十月、『忠魂碑』が建ったわけです。
その後関東大震災で折れてしまって再建したり、元の場所から現在の場所へ移したりの変遷はありましたが、私は今もあの碑を見ると亡父のことを思い出すのです。」
参考資料/海老名むかしばなし
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