着物帯で緞帳(どんちょう)をリメイク 麻生老人いこいの家運営委員らが手作り
「麻生老人いこいの家」運営委員会のメンバーらがこのほど、着物帯を利用した緞帳を完成させた。
同施設では20年ほど前の創設当初から使用していた緞帳が老朽化で破損していた。新たな緞帳の購入が必要だったが、経費を抑え、皆が喜ぶようなものに出来ないかと頭を抱えていたという。
そんな時メンバーのひとりが偶然目にした新聞に、箱根湯本で芸者らが着物帯を活用した緞帳づくりに取り組む記事を見つけた。
「この方法ならコストもおさえられる。自分たちで作れるかもしれない」。メンバーらは箱根湯本を訪れ、そのきらびやかで温かい緞帳を見るなり、「これだ」と確信した。
メンバーらは麻生区に戻るとさっそく帯の寄付を呼びかけた。前代未聞の帯の提供依頼にどの位の帯が集まるか不安もあったが、地域住民らから約30本の帯が集まった。帯の中には結婚式や成人式など晴れの日の思い出が詰まったものも少なくなかった。家でタンスの肥やしになるなら、地域のために使ってもらおうという協力者の気持ちがありがたかった。
3メートルほどの色鮮やかな帯を和室にずらりと並べ、厚さや色合いも違う帯をどう組み合わせるかメンバーで意見を交えた。帯芯や不要な糸を取り除き、工業用のミシンで慎重に縫製し、縦2・5メートル、横7メートルの華やかな緞帳に仕上げた。
緞帳のお披露目は、毎年1回施設の利用者が一堂に会するイベント「第4回 交流祭」で行われた。
箱根湯本の芸者たちもお祝いに駆け、式典は一層華やかなものになった。来場者からは「すごい」「きれい」などと歓声が上がり、その仕上がりに皆大満足の様子だった。帯を寄付した五井田鶴子さんは「これからはここで帯が生かされる。役に立ち本当に良かった」と満足そうに話していた。
運営委員長の前田晴さんは「予想以上に出来が良かった。帯を提供してくれた一人ひとりの思いが詰まっているので、これからみんなで大事にしていきたい」と丁寧に縫製を重ねた緞帳を嬉しそうに眺めていた。
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