東京都美術館で2日から10日まで開かれた学生美術の祭典「第63回学展」で、川崎市立養護学校高等部に通う片平在住の星拓実さん(2年)が準大賞となる「学展特別奨励賞」を受賞した。63回の歴史で、養護学校生が同賞に輝くのは初で快挙となる。
同展は、日本学生油絵会が主催。油絵のほか、彫刻、工芸、版画デザイン、イラストがあり、小・中・高・大学生が対象。「絵の甲子園」とも称されており、今年は全国から約1800点の応募があった。星さんは全ての作品の中から特別奨励賞に選ばれた。
星さんが描いた油絵のタイトルは「猫百景」。高さ160cm、横100cmのキャンバスに33匹の猫を表現した。主催する日本学生油絵会は「バックを黒にするとバランスなどが難しくなるが、それを感じさせない配置や色使いが素晴らしい。猫も全て表情や向きが違い、丁寧に描かれている。本当に猫が好きなことが伝わってくる作品」と評価している。
「長所を伸ばしてあげたい」
星さんは軽度の発達障害で知的な遅れがある。母の裕美子さんが、言葉の遅れから障害に気づいたのが、星くんが3歳の時。裕美子さんは「保育園に通っている時から、色彩あざやかに絵を描いていた。すごく絵が好きな子だった」と話す。長所を伸ばしてあげたいと、裕美子さんは障害を持っていても受け入れてくれる絵画教室を探し、星さんが5歳の時から新百合ヶ丘マプレの「アトリエ一番坂」に通わせている。
学展に4年生時から出展しており、毎年入選を果たしている星さん。今回の制作では、昨年11月から約7カ月かけ取組み、6月からは追い込みで一日8時間も制作に費やした日もあった。猫が大好きで、養護学校の宿題で猫の絵日記を書いており、題材のヒントにした。
12年間星さんを指導するアトリエ一番坂の舘岡豊照さんは「これまで、題材はこちらから提案していたが今回は、自分で決めて制作した。『描きたい』という思いが込められた作品になったのでは」と話した。
「猫百景」は10月13・14日に行われる「マプレ野外展」で展示される予定となっている。
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