「かわさき農作物ブランド品」にも指定されている「多摩川梨」の収穫が目前に迫っている。今年も天候不順の影響が心配されたが、概ね生育は順調で、8月初旬には歴史ある夏の美味が楽しめそうだ。
多摩川梨とは、川崎市内で生産された梨の総称で、そのルーツは約250年前まで遡る。記録では江戸時代初期に川崎大師河原周辺で梨栽培がおこなわれており、全国的に知られた「長十郎梨」は多摩川沿いで最初に栽培された種類だという。その後、中原、高津、生田と多摩川を上るように梨の栽培地は広がっていき、大正時代には関東屈指の梨の産地となったという。現在は、中原・高津・宮前・多摩・麻生区の約29万平方メートルで栽培されている。
「今年も良い品を」
麻生区内では現在、十数軒の農家が梨栽培を行っている。出荷はセレサモスでの販売のほか、直売が主なため、まさに地元で楽しめる夏の味覚となっている。
区内早野で梨栽培を行う金子昇さん(79)の梨園約5000平方メートルでも「愛甘水」などの種類が収穫間近となっている。「梨は強風に弱い果物。実がなってからの1週間が大きくなる期間で、この時期などに風の影響を受けなければ今年も良い梨が出せる」と金子さんは期待を込める。4月の高気温が成長を多少早めてはいるが雨量は適量で、甘さの問題はないとのこと。
金子梨園では今シーズン、愛甘水のほか、「築水」、「幸水」、「あきあかり」、「秀玉」、「豊水」、「新高」など10種ほどが順次収穫され、10月半ばまで販売される。金子さんは「幸水や豊水といった知られた品種ももちろんおいしいですが、時期によってはこの地域ならではの梨もあるのでまずは好みの梨を見つけて欲しい」と話している。
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