厚生労働大臣賞を受賞した焼肉大久園の店主 伊藤 久美子さん 瀬谷在住 76歳
「ごちそう様」が聞きたくて
○…調理師制度功労者表彰として厚生労働大臣賞を受賞した。神奈川県調理師連合会や瀬谷区食品衛生協会の理事を歴任するなど20年以上に渡って貢献してきたことが評価された。表彰の話を聞いた時は「とんでもない」と恐縮し、断ろうかと考えたという。「最初は3カ月、半年でダメになってしまうと思っていた店ですよ。この賞は調理師会などの仕事を長年続けてきた結果、受賞できた。家族や友達からかけてもらうお祝いの言葉がくすぐったい感じ」とはにかむ。
○…焼肉屋一筋40年。主人の故忠男さんと一緒に始めた。創業から7年、店が軌道に乗り始め、借地を買い上げた時期に忠男さんが他界してしまう。「これからという時でしたので、頭が真っ白になってしまった」と振り返る。失意の中、支えてくれたのは周囲の人たち。「色々考えてもしょうがないから閉めておかないで、店を開けなさい」という後押しを受けて以来、家族に支えられながらがむしゃらになって続けてきた。
○…大切にしてきたのは、利用者の気持ちが安らげる場作り。利用客からの「楽しかった、ごちそう様」を聞くため、創業以来継ぎ足してきた自家製のタレとともに今日も店に立つ。毎日を忙しく過ごすが、時間があれば友人と一緒にバスに乗って食べ物巡りに出かける行動派。ほかにはカラオケを少々。月2回ほど大月みやこや藤あや子に変身する。「たまにおいしいものを少しずつ食べたり、自分のために時間を使うことが大事」と息抜きの時間も大切にする。
○…一つのことを長年続けるコツは「小さな目標を一つひとつクリアすること」。何年後にこれをしよう、夫の13回忌には墓を建てようなど目標を地道に達成してきた。今後の目標は「最低でもあと10年はお店を続けていきたい」。体が動く限りは店に立つ決意を見せるが、話す瞳の奥では10年後のさらに先の未来まで見据えているような気がした。
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