銭湯の日(10月10日)にゆず湯ならぬ「じゃばら湯」を展開する市浴場組合理事長の 松山 秀雄さん 中区在住 72歳
銭湯一筋、義理人情に熱く
○…4月に市浴場組合の記念すべき10代目理事長に就任した中区大和町「いなり湯」の主人。同組合の発案から銭湯の日には、和歌山県北山村の名産、幻の柑橘といわれる「じゃばら」を使った湯船を県内のすべての銭湯で実施する。今年で2年目となる「じゃばら湯」は、横浜のメンバーが関西で実施されていた同様の取り組みを知ったのがきっかけ。これまで廃棄されていた皮を銭湯に使う発想で、昨年の経験から「すごく暖まるよ。香りもとってもいい」と力説する。「アレルギー抑制に働く成分がゆずの6倍もあるんだって」とそのPRに熱が入る。
○…「銭湯は『公衆浴場』。まずはしっかりとした衛生管理が大切」とし、定期的な水質検査を徹底する。だが家庭風呂の普及から近年、街並みから急速に銭湯が姿を消している。15年前には市内に約200軒あったものが、今では半分以下の88軒に。「圧倒的に高齢者の利用が多いね」とつぶやく。組合では、銭湯を盛り上げるためにもとマップを作成。協力する市内44軒を巡ると賞品がもらえる仕組みだ。「なかなか全部は行けないよね」とはにかむも、達成者には表彰を検討しているという。
○…生まれは南区、6人兄弟の長男。父親が銭湯を営んでいたが戦争で「丸焼け」に。戦後、市が設置した銭湯の一つを、復員した父がまかされた。それが「いなり湯」だった。「学生の頃は継ぐのが嫌でね」と、大学卒業後は、報道カメラマンを目指したことも。今では「生まれながらの風呂屋。とにかく頑張りたい」と語る。
○…厳しい経営環境ながら、近隣の老人ホームなどと連携する「デイ銭湯」の定期化なども模索する。また、一部の銭湯は災害時の帰宅困難者受け入れ施設に指定されるなど、公的な役割も期待される。一緒に切り盛りする妻の静枝さんからは色々と注文がつくも、「家内あっての銭湯だよ」と目を細めた。
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